2017.10.04
(Wed)

ジャクリーヌ・デュプレ没後30年

今月19日は、夭折したイギリスの伝説的チェリスト、ジャクリーヌ・デュプレ(1945-1987)の没後30年にあたるのだそうで、イギリスBBCではデュプレの生前の映像や交流のあった人へのインタビュー映像を交えた1時間のドキュメンタリー番組を、20日夜に放映することになっているのだそうです[BBC]。下はその予告動画[TheStradより]。

最初のほうに出てくるのは、イギリスのチェロ奏者ウィリアム・プリース。後半に出てくるのはチェリストで指揮者のジョン・バルビローリ。

他にもデュプレの没後30年に関連しては、10月28日と29日の両日ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールで、デュプレの夫だったダニエル・バレンボイム(1942-)が、自身が設立したウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団を率いて、記念コンサートを行うのだそうです。 曲目は、R.シュトラウス「ドン・キホーテ」とチャイコフスキーの交響曲第5番。「ドン・キホーテ」のチェロソロは、バレンボイムがたびたび起用している若手チェリストのキアン・ソルタニ

デュプレを記念するなら、とまず思い浮かぶエルガーのチェロ協奏曲もなく、プログラムからはデュプレがあまり前面に出てきませんが、このコンサートの収益は、デュプレが苦しんだ多発性硬化症の患者支援団体に寄付されるのだそうです。

ただ全体的に、20世紀の偉大なチェリストの没後30年という区切りのわりには、記念のCDが発売されたという話も聞かないし、 あまりデュプレのことが話題になっていないような気がするのはなぜなのかな?…とちょっと不思議に思いました。

まあ、30年なら、まだデュプレが生きていたときのことを記憶している人も、バレンボイムをはじめたくさんいるからいいのかも知れませんが…

2017.10.02
(Mon)

投資顧問会社のCM

アメリカの投資顧問会社MFSが先月から公開しているCMに、ボイス・パーカッションの技がさえるチェリスト、ケビン・オルソラ氏が登場。

「投資の正しいリズムをつかむには、人間のスキル・信念・洞察が求められます…たったひとりのミュージシャンがオーケストラに変身するように、わが社はあなたの投資戦略をゴールまで高めます…」って、言っていることはよくわかりませんが、とりあえず目と耳がくぎづけになりそうです。

関連過去記事: ヒューマン・ビートボックス入りバッハのプレリュード[2016.05.05]

タグ : CMのチェロ 

2017.09.29
(Fri)

楽器調整と弓毛替え

気候も良くなってきたので、楽器の調整と毛替え。今回初めての楽器店にお願いする。

楽器のメンテナンスをお願いする店にはいつも悩む。あまり遠いのも困る、職人さんに話を聞けないのも不安、かといって職人さんに叱られているみたいなのも嫌…というわけで、これまでなかなか店が固定しなかった。

今回は楽器を2日間預けて駒を調整してもらった。合わせて魂柱の調整と内部のクリーニングも。新しい松脂も薦めてもらう。弦交換はまたの機会に。ここはまたお願いするつもり。帰って楽器を鳴らしてみたら、まったく違った響きになっていた。

タグ : チェロ道具 

2017.09.27
(Wed)

ラン・ランの左手

ピアニストのラン・ラン(35)はさいきん、左手の故障で演奏活動を減らしているらしいですね。 彼のファンはご存知だったでしょうが、今年4月にフェースブックで、左手の炎症(inflammation)のため、医師のすすめ(doctor's recommendation)により6月末まで3ヶ月間の全公演をキャンセルすることを表明していました。

今回たまたま知ったのは、今週28日にアメリカのシアトルで予定されていたラン・ランのリサイタルが同じ理由でキャンセルされたというニュースを見て。まだ回復していないんですね。

私も左手の指の痛みを経験して、楽器を弾くことが制限される辛さが少しはわかる気がして、ましてラン・ランほどの演奏家だったらその辛さはどれほどだろうか…と気の毒に思います。

ところが、ラン・ランは全く演奏活動していないかというと、今月19日にピッツバーグ、おととい25日にはカナダのバンクーバーで、オーケストラとガーシュイン「ラプソディー・イン・ブルー」を弾いていました。この演奏でラン・ランは連弾のパートナーに14歳のアメリカ人ピアニスト、マキシム・ランドくんを選び、ラン・ランは右手1本で弾いたのだそう[Post Gazette 17.09.17]。これはこれでうまく考えたものだなと思います。

ラン・ランとマキシム・ランドくんが3年前に「トルコ行進曲」を連弾した動画がありました。

さらに、10月4日に予定されているカーネギー・ホールでの「ラプソディー・イン・ブルー」では、この2人にさらにチック・コリア(76)を加えて、2台のピアノに3人のピアニスト、5本の手で弾くのだそうです![NYTimes 17.10.03]。※後日追記

ラン・ランは、このあと11月にベルリンフィルハーモニーと来日も含むアジア・ツアーを回ることになっていて、11月24日にはサントリー・ホールの公演(バルトークのピアノ協奏曲2番)も控えていますが、これはまさか連弾というわけにはいかないでしょうし、それまでに回復していることを祈ります。

関連過去記事: ラン・ラン、オレンジでショパンを弾く[2016.03.14]

2017.09.26
(Tue)

ベルリンで千人のオーケストラ・フラッシュモブ

ドイツのベルリンで23日土曜日、ベルリン・ドイツ交響楽団(DSO)のメンバーとアマチュア音楽家の合わせて1,000人が、市内の巨大ショピング・モール Mall of Berlin で演奏したらしいです[Berliner Morgenpost 17.09.24]。

これはDSOがほぼ毎年行っている"Symphonic Mob"という催しで、昨年5月の前回の指揮者はケント・ナガノ。今年の指揮は若き音楽監督のロビン・ティッチアッティ(34)。今年もそろそろやるのではないかとチェックしていました。

この日は12時半に1,000人の音楽家たちが集結。14時からのリハーサルの後、15時半からの本番で、グリーグ「ペール・ギュント」から「朝」、ビゼー「カルメン」から「闘牛士の行進」などを演奏したそうです。

後日公開された動画。

ドイツといえば、ちょうどこの翌日、24日日曜日は、メルケル首相の続投を問う連邦議会選挙の投票日だったはずで、ここに参加した音楽家たちも翌日には気持ちを切り替えて投票したのでしょうね。

タグ : フラッシュモブ 

2017.09.25
(Mon)

ナダル・フェデラー組のダブルス

22日から3日間、プラハで行われていたテニスの第1回レーバーカップ、欧州選抜と世界選抜の団体戦で、世界1位と2位、ラファエル・ナダル(31)とロジャー・フェデラー(36)のダブルスが初めて実現したそう。

二人があわや激突しそうになる(0:38頃)など、ダブルスとしての細やかさは求めるべくもないけど、この二人がコートの同じサイドに揃いのユニフォームで並んで立っているというだけで胸が熱くなってきます。YouTubeなどでハイライト動画を探しては見ています。

タグ : ロジャー・フェデラー 

2017.09.23
(Sat)

初ピアノトリオ

初めてのピアノ三重奏の合わせ。

ピアノ三重奏というのは、弦楽四重奏ともピアノ四重奏とも違って、チェロは華やかで自己主張の強いバイオリンとピアノとに一人で対峙しなければならず、よりごまかしが効かず、なかなか大変。こうしてみると室内楽におけるビオラという存在は、チェロにとって大切な「同志」で、仲良くしておかなければ…と思えてくる。

この日合わせてみたのは、ハイドン「ジプシー」、メンデルスゾーン第1番1,2楽章、それにドボルザーク「ドゥムキー」の5,6楽章。

メンデルスゾーン1番1楽章冒頭のチェロのソロは、事前の研究不足でバイオリンに指摘されて初めて気づいたのだが、 ダウンから弾き始めるものらしい[譜例:IMSLPからのものにボウイング記号をペースト]。
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たしかにマイスキー(キーシン、ジョシュア・ベル)や 堤剛先生(中村紘子、海野義雄)をはじめ、ほとんどの演奏がそう弾いている。これがわかって、格段にそれらしく弾けるようになった気がした。

ピアノ三重奏でいいことの一つに、YouTubeにある演奏動画で(弦楽四重奏の場合などと比較して)チェロが見切れていることが少ないので、プロのボウイングを参考にしたいときにも都合がいい、というのがある。

来年披露することを目標に、これから時々集まって合わせてみることになった。

タグ : カルテット 

2017.09.21
(Thu)

米軍海兵隊のチェリスト

アメリカ軍の音楽隊にもバイオリニストやチェリストがいて、国の重要な儀式や晩餐会などで演奏する任務を負っていることは、以前、米空軍のフラッシュモブをきっかけに知りましたが、これは米軍海兵隊所属の室内楽団とそのチェリスト、プレスコット二等軍曹による演奏で、ドボルザークのロンドOp.94。

プレスコット二等軍曹は、6歳でピアノ、10歳でチェロを始め、ノースウェスタン大学とニューヨークのマンハッタン音楽学校でチェロを学んだチェリストだそう。

米軍の音楽隊の中でも海兵隊音楽隊(US Marine Band)は、歴史的にホワイトハウスで大統領が国賓を迎えたときなどにも演奏する機会が多いことから、「大統領閣下の("The President’s Own")音楽隊」と呼ばれるほどの格式を誇っているのだそうです。

その海兵隊音楽隊の室内楽団のチェロセクションは、現在所属している3名のチェリストに加わる新たな人員を募集中だそうです[海兵隊音楽隊Facebookより]。

現在の緊迫した安全保障上の情勢とは関係なく、軍の制服でチェロを演奏する姿に目を引かれたので…

2017.09.20
(Wed)

「謎の変奏曲」

世田谷パブリックシアターの舞台「謎の変奏曲」。 北欧の孤島で一人暮らしのノーベル賞作家(橋爪功)のもとへ取材にやってくる記者(井上芳雄)、という設定の二人芝居。 題名を見てわかるように、エルガー(Edward Elgar, 1857-1934)の「エニグマ変奏曲」Op.36をモチーフにした、二人の男の「謎」をめぐる物語。 フランスのエリック=エマニュエル・シュミット作。

緊迫感のある会話劇の中で、橋爪功の演技はさすが。脚本の翻訳も自然。 どんでん返しがあるので詳しくは書けないけど、 プロットからして、橋爪功の役はもう少し若く、 井上芳雄は逆に役に対して若々し過ぎて、もう少し中年の味が必要ではないかと思ったら、 この作品のパリでの初演(1996年)では、橋爪功の役をアラン・ドロン(1935-,当時61歳)、 井上芳雄の役を当時50歳前後の俳優(フランシス・ユステール)が演じていたと聞いて納得した。

井上芳雄は「ミュージカル界の貴公子」としてだけでなく、 2年前の「正しい教室」などでも見た、二面性のある役をこなしても凄みのある俳優として、着々と芸域を広げているのは立派だと思う。

公演時間は15分の休憩を挟んで2幕で2時間半ほど。

[追記] 朝日新聞21日夕刊に劇評があった→「謎の変奏曲」 美しさ際立つ言葉の力 [朝日]。共感したけど、少しネタばれしすぎな気もした。日本では過去に仲代達矢と風間杜夫(1998年)、杉浦直樹と沢田研二(2004年)でも上演されたと知って、ほおっと思った。

2017.09.20
(Wed)

バッハの組曲で放浪の旅

シドニー出身の若手チェリスト、リチャード・ナロウェイ氏(1991年生まれ)は、2年ほど前からオーストラリア各地を回ってコンサートホール以外の場所でバッハの無伴奏チェロ組曲を演奏し続けていて、彼はこれをアボリジニーの少年が荒野を一人で放浪することで成長するとされる通過儀礼、Walkabout(ウォークアバウト=放浪)に掛けて、Bachabout(バックアバウト)と言っているそうです[violinist.comより]。

面白いと思ったのが、彼がパーキンソン病患者を訪問したときの映像で、 彼が演奏するバッハの組曲6番、4番、3番...に合わせて患者たちが体を動かす訓練をしているのです。最近、ケラスなどバッハの組曲とダンスの話題があったこととの符合を感じました。

彼はすでにバッハの組曲全曲のアルバムを録音していてamazonで発売されるほか、SoundCloudでも試聴できるようになっていました。

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