2017.07.31
Mon

トルルス・モルク@ヴェルビエ音楽祭

トルルス・モルクがきのう30日、スイスのヴェルビエ音楽祭で弾いた演奏会がmedici.tvで見られるようになっていました。

Truls Mørk and Kirill Gerstein perform Brahms, Janáček, and Prokofiev [medici.tv]

現地30日にヴェルビエ教会で行われた1時間半ほどのコンサートで、ピアノはキリル・ゲルシュタイン。曲目はブラームスのチェロソナタ1番、ヤナーチェクの「おとぎ話」、プロコフィエフのチェロソナタ1番。オンデマンド映像の公開期間は今年11月6日まで。視聴中にメールアドレスの登録を求められるかも知れませんが、登録は無料。下記のmedici.tvのツイートより。

実は同じきのう30日、ヴェルビエの別の会場の公演では、ミッシャ・マイスキーがピアノのエフゲニー・キーシンらと、私がきのう弾いたのと同じモーツァルトのピアノ四重奏曲第1番K.478を弾いていたと知ってなんだかうれしかったのですが、こちらの映像・録音は(まだ)見つかりませんでした。

タグ : トルルス・モルク 

2017.07.29
Sat

ヨーヨー・マと弾ける会

フィラデルフィア管弦楽団は昨年に続いて今年もアマチュア・チェリストがヨーヨー・マと一緒に弾ける Cello PlayIN というイベントを開くそう。8月9日、ニューヨーク州のサラトガ・パフォーミング・アーツ・センター(SPAC)で。

Calling All Cellists! [SPAC]

ヨーヨー・マがフィラデルフィア管弦楽団とドボルザークのチェロ協奏曲を弾く公演の昼間のイベントとして、90人ほどのアマチュア・チェリストが、ヨーヨー・マと同管弦楽団のチェロ奏者たちと一緒に演奏するというもの。曲目は、鈴木の教本の1~6巻からのものらしいので幅広く参加できそう。

***

そういえば、日本でもジャン=ギアン・ケラスにアマチュア・チェリストが直接チェロ・アンサンブルのレッスンを受けられるイベントが10月8日、浦安であるらしいですね。

ジャン=ギアン・ケラス スペシャル・チェロ・ワークショップ [浦安音楽ホール]

こちらは、友だちが何人か参加すると思うので、話が聞けるのを楽しみにしたいと思います。

タグ : ヨーヨー・マ  ジャン=ギアン・ケラス 

2017.07.26
Wed

ココナッツ・ソング

先週、アメリカのベイラー大学男声合唱団が、演奏旅行先のケニアから帰国する飛行機便の中で、乗務員にお礼のパフォーマンス。

これには航空会社のエミレーツも大喜びで、公式ツイッターフェースブック、YouTubeにアップしていました。曲は"Da Coconut Nut"というココナッツの効能を讃えるユーモラスな歌。

[追記: "Da Coconut Nut"は、フィリピンのRyan Cayabyab氏が作曲、Smokey Mountainというバンドが1991年に歌った曲。歌詞は「♪ココナッツの実は大きい実、食べ過ぎると太っちゃうよ…」。合唱では2008年、東京のセントメリーズ・インターナショナルスクールのRandy Stenson先生が4部合唱に編曲して楽譜出版したもの。セントメリーズの合唱団による歌唱。さすが"本家"。楽しい!]

しかし、男ばっかりですね…あたりまえですが。

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こちらは、ちょうど先週、ユーロビジョン合唱コンクールで見事ヨーロッパ1位になった、スロベニアの女声合唱グループ。

最近の合唱の事情はよく知りませんが、単に歌うだけではなく、演劇的要素や、一人一人が見られているという要素が求められるようになってきたのかな、というようなことを思いました。

2017.07.23
Sun

マリオ・ブルネロとクレメラータ・バルティカの山上コンサート

北イタリアの山岳地帯で開かれている音楽祭"I Suoni delle Dolomiti"で今週20日、マリオ・ブルネロと室内楽団クレメラータ・バルティカが共演した野外コンサートが、標高2,000メートルほどの所で行われていました(先日ベルリンフィルの12人のチェリストたちが演奏したのとはまた別の所)。このときの曲目は:

Antonio Vivaldi, Concerto for two violoncellos
Michael Nyman, “Trysting fields” (from Drawing by Numbers[映画「数に溺れて」(1988)]) version for violin, viola and strings 
Balys Dvarionas, Pezzo elegiaco (“By the lake”) for violin and strings
Giovanni Sollima, "Violoncelles, vibrez!"[チェロよ歌え] for two violoncellos and string orchestra
Nino Rota, Concerto for strings
[Kremerata Balticaより]

このようすはフェースブックでライブ中継されたので、たまたま家で見ることができたのですが、 雪渓の残るドロミテの山々をバックにブルネロらが演奏するようすが、いかにも気持ちが良さそうでした。ブルネロが弾いたのは1曲目と4曲目で、チェロはもちろんあのマッジーニのチェロ。出番のないときは後ろの岩に腰を下ろして聴いていたりしました。

野外での演奏ということで音響はそれなりでしたし、譜面台の楽譜が風で飛ばないようクリップで留めていたので、譜めくりの細かいトラブルなどもありましたが(ブルネロも「チェロよ歌え」でちょっと譜めくりに手間取っていました)それもまた野外ライブの味というものかも知れません。 dolomiti2017.jpg

このとき聴いていたかたが撮ったらしい動画がありました。1曲目のヴィヴァルディのあたり。

タグ : マリオ・ブルネロ 

2017.07.21
Fri

ヨーヨー・マが「コンサート船」救済を訴え

水上に浮かぶ、珍しい「コンサート船」が廃船になろうとしていたところ、チェリストのヨーヨー・マが救済を訴えたおかげで新しい持ち主が見つかるかも知れない、というニュース[Chicago Tribune 17.07.18 via Slippedisc, Strad]。

この船は、1976年にアメリカ建国200年を記念して有名建築家ルイス・カーンの設計で建造された、Point Counterpoint II世号という全長60メートル、幅12メートルほどの大きさの船。河川などを航行し、甲板の一部が開いてステージになり、岸にいる観客に向かってコンサートを開くというもの。 アメリカの吹奏楽団 American Wind Symphony Orchestraとその指揮者ロバート・オースティン・ブードロー氏(90)が保有し、41年にわたって各地で活躍してきたものの維持管理できなくなり、新しい引き取り手も見つからず、今年廃船・解体されることになっていたのだそう。

ところが、これを聞いたヨーヨー・マが今月、この文化的価値のある船を保存して欲しいとアメリカの有名誌The New York Review of Booksに投稿したところ、ニューヨーク州ハドソン川沿いのキングストンという人口2万人ほどの小さな街が関心を示し、来月協議することになっている、とのこと。 現在保有しているブードロー氏は2百万ドル(約2億円)での売却を希望していて、キングストンの街がこの買取りと今後の維持管理の資金を集められるかどうかがカギになりそう。

Point Counterpoint II世号(この名前もちょっとカッコいい--counterpointは「対位法」の意)をYouTubeで探したら、楽団の古い紹介動画が出てきました。船からステージがあらわれるようすは1分40秒くらいから。
pointcounterpointii.jpg

この船が次の安住の地を見つけることができたら、この上でヨーヨー・マがコンサートを開いたらいいんじゃないかと思います。

タグ : ヨーヨー・マ 

2017.07.19
Wed

バレンボイムがBBCプロムスで政治的(?)スピーチ

イギリス最大の音楽祭BBCプロムス2017の16日に行われたコンサートの終盤で、指揮者のダニエル・バレンボイム(74)がイギリスのEU離脱への批判ともとれそうな数分間のスピーチを行い、これに対して賛否入り乱れた議論が行われているようです。

この日のコンサートは、バレンボイムがドイツのベルリン国立歌劇場管弦楽団を率いて、イギリスの現代音楽作曲家バートウィッスルの委嘱作品初演とエルガーの交響曲第2番を演奏するプログラム。この後、アンコールとしてエルガー「エニグマ変奏曲」から「ニムロッド」ともう一曲、「威風堂々」を演奏する前にバレンボイムのスピーチは始まったとのこと。(バレンボイムはアルゼンチン生まれのイスラエル人)。

そのときの映像。BBCのテレビ中継画面を個人が録画したものだということなので、いいのかどうかわかりませんが。

以下が全文[Guardian, Jewish Chronicleなどから]。

... I would like to share with you some thoughts that I have. Not political [聴衆笑].
Not political, but rather of a human concern. When I look at the world with so many isolationist tendencies, [上の動画はこのあたりから] I get very worried. And I know I’m not alone. [聴衆拍手]
[...政治的にではなく、ひとりの人間として、いま世界に多く見られる孤立主義的な傾向を懸念しています。これは私だけではないと思います。]
You know, I lived in this country for many years. I was married in this country
[※注: ここで、バレンボイムがイギリスの伝説的チェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレ(1945-1987)と結婚していたことを皆思い出すと思います。]
and I lived here for many years, and I was shown so much affection whilst I lived here that this kind of gave me the impetus, if you want, to say what I would like to say.
I think the main problem today is not the policies of this country and of that country. The main problem of today is that there is not enough education. [拍手] That there is not enough education for music, we’ve known for a long time. But now there is not enough education about whom we are, what is a human being, and how he is to relate with others of the same kind.
[問題は特定の国の政策ではなく、十分な教育がなされていないことです。そして音楽教育もです。我々が何者で、人間とは何で、他者とどう向き合ったらいいか、についての教育です。]
That’s why I say it is not political, but of human concern. If you look at the difficulties that the European continent is going through now, you can see why that is, because of the lack of common education. Because in one country they don’t know why they should belong to something where there are other countries too. And I’m not talking about this country now. [笑] I’ll come to that. I’m talking in general.
You know, our profession, the musical profession, is the only one that is not national. No German musician will tell you ‘I am a German musician, and I will only play Brahms, Schumann and Beethoven. [聴衆笑いと拍手] We had very good proof of it tonight.
If – let me stay out of Great Britain – if a French citizen wants to learn Goethe, he has to have a translation. But he doesn’t need a translation for the Beethoven symphonies. This is why music is so important. And these isolationist tendencies and nationalism in its very narrow sense is something that is very dangerous and can only be fought with a real, great accent on the education of the new generation. We are probably all too old for that. But the new generations, they have to understand that Greece and Germany and France and Denmark all have something in common called European culture. [拍手]
Not only the Euro. Culture. This is really the most important thing. And also in this cultural community called Europe there is a place for diverse cultures, for different cultures, for a different way of looking at things. But this can be done only with education. And the fanaticism that exists in the world, with religious backgrounds, can also only be fought with education.[拍手]
Religious fanaticism cannot be fought with arms alone. The real evils of the world can only be fought with a humanism that keeps us all together. Including you.
And I’m going to show you that I really mean it. [「威風堂々」の演奏...]

[追記] BBCプロムスの公式サイトでもこのスピーチの動画がアンコール曲「ニムロッド」「威風堂々」の演奏と並んで公開されていた。

[さらに追記]
・イギリスのEU離脱派、独立党ファラージ党首はツイッターで「BBCはプロムスをEU離脱反対運動に利用した」とBBCを激しく批判。
・多くの人が参照していた比較的冷静な批判は、保守派の政治ジャーナリストの記事で、「バレンボイムは音楽だけで十分多くのことを語っていたのに、スピーチは一方に教育があり他方にはないかのような言い方で、人々を団結させるより分断させるものであり、残念な行為だった」という内容。

2017.07.17
Mon

山頂でチェロ

アメリカ・ロッキー山脈のシャバーノ山(標高4,338メートル)にチェロを持って登って演奏…カントリー音楽を中心にバイオリンとのHalf Pelicanというユニットで活動するジョイ・アダムスさん(右の女性)。

立ち弾き用のストラップを使っていますね。ソロでバッハのプレリュードも。

10年前、マリオ・ブルネロが富士山頂にチェロを担いで行って演奏したと聞いたときにはびっくりしたものですが、去年はキリマンジャロ山頂で演奏した人もいましたし、世界にはたくましいチェリストがたくさんいるものです…

2017.07.15
Sat

最新の楽器人口

きのう14日、総務省統計局から平成28年社会生活基本調査結果が発表されていて、これによると「過去1年間に趣味として楽器の演奏をした」と答えた人は10.9パーセントで、 前回5年前の調査の9.6パーセントよりもやや増えていることがわかりました。

この調査は総務省が国民の生活時間や活動の実態について5年に一度調査しているもので、 昨年平成28年(2016年)10月20日時点で全国から無作為に選定した10歳以上の約20万人から調査票による回答を得て、その結果をまとめたもの。

もともと「楽器演奏人口ってどれくらいなんだろう?」という疑問からこの調査を見つけて、以前から注目していました。

頻度別に前回5年前の調査と比較すると:

  • 1日でもしたと答えた人が10.9% (前回9.6%から増)
  • 10日以上したという人が6.3% (前回6.7%から減)
  • 40日以上したという人が3.7% (前回4.0%から減)
  • 100日以上したという人が2.4% (前回2.6%から減)
…と、楽器に触れた人の総数は増えたのに対して、継続して楽器に親しんでいる人の数は増えていないどころか、わずかに減っているようです[統計表31-2より]。

今回の調査では、国民の趣味・娯楽の行動者率は全体として5年前より上昇しているようで、これは前回調査時の2011年があの震災の年だったということもあるかも知れませんが、 近年の趣味・娯楽の多様化という傾向もあるのかも知れません。

楽器別の人口までわかるとさらに興味深いのですが、総務省の調査ではそこまでは踏み込まないようです。

「過去1年間に楽器の演奏を1日でもした」と答える人が国民の約10パーセントというのは毎回安定していて、 他国と比較するとイギリス、ドイツ、フランスなどいわゆる先進国並み[過去記事]。

なお、この調査は、性別・年齢別・地域別などいろいろな角度からまとめられていて、 男女別に見ると楽器人口は全体10.9%に対して男8.7%、女13.0%(そんなものでしょうか?)。 都道府県別に見ると[統計表86-2]、東京14.3%、神奈川13.8%が全国的にも高く、全体に人口密集地域ほど高いようです。

タグ : 楽器人口 

2017.07.14
Fri

ヨーヨー・マのインタビュー

世界的な経済・金融ニュースを扱うブルームバーグで、各界のリーダーに話を聞くインタビューシリーズに今週、ヨーヨー・マが登場していました。インタビュアーはアメリカの投資グループ、カーライル・グループのCEO、ルーベンスタイン氏。

国際的なビジネスに携わる人の視点から、ルーベンスタイン氏の質問は、ヨーヨー・マの卓越した能力や成功の秘密はどこにあるか?…というところ向くのですが、当のヨーヨー・マは、自分の興味の対象はあくまで「人」、外からの評価には興味がない…など、なんだか全く話が噛み合わない感じなのが面白いと思いました。

前半(7分くらいのところ)に、ヨーヨー・マが幼い頃、カザルスの前でチェロを弾いたら、 カザルスが「じょうずだね…でも、野球もやるんだよ」と言ったというエピソードが出てきて、 ヨーヨー・マはこれをカザルスの「自分は第一に人間、第二に音楽家、第三にチェリスト」という言葉と結び付けて心に刻みつけているようです。

タグ : ヨーヨー・マ 

2017.07.08
Sat

ベルリンフィル12人のチェリストたちの山上コンサート

北イタリアの山岳地帯で毎年開かれている音楽祭"I Suoni delle Dolomiti"(ドロミテの調べ)で、きのう7日、ベルリンフィルの12人のチェリストたちが、標高約1,900メートルほどの山の上で野外コンサートを開いたそう。そのようすがイタリアのニュースサイトで少し見られるようになっていました。

I SUONI DELLE DOLOMITI – TRENTINO: I 12 VIOLONCELLISTI A PASSO S. PELLEGRINO (VIDEO) [Agenzia Giornalistica Opinione 動画はリンク先の少しスクロールした下のほう]

ベルリンフィルの12人のチェリストたちはジーンズと揃いのTシャツ姿でフォーレ「パヴァーヌ」やタンゴなどを演奏。聴衆は草の上に寝そべったりして演奏に聴き入っていました。

この音楽祭では昨年もミッシャ・マイスキーが野外コンサートをやったりしていましたね[過去記事. 動画あり]。

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