2017.04.12
Wed

チェリストも飛行機から降ろされる

アメリカでユナイテッド航空が定員超過で乗客の一人を無理やり引きずり降ろしたことがニュースになりましたが、 その少し前、やはりアメリカで、チェリストがアメリカン航空の国内便から降ろされたことが──ユナイテッド航空の件に比べれば小さな──ニュースになっていました[abcnews 17.04.05]。

このチェリストは演奏家でチェロ教室も主宰するジョン・カボフ氏(46)で、4日ワシントンD.C.からシカゴに仕事のため、チェロの席も購入してアメリカン航空に搭乗したところ、チェロが座席に固定できず床に着いてしまうため危険だというのを理由に飛行機から降ろされてしまったのだそうです。カボフ氏はしぶしぶ従うとすぐに自分のフェースブックページに、起こったことを説明する自撮りの動画をアップしたので、 メディアが取り上げることになったようです。

どうやら乗務員が、延長ベルトを使えば座席にチェロを固定できることを知らなかったよう。

アメリカン航空はすぐに謝罪し、カボフ氏は次のシカゴ行きの便に乗ることができ、チェロの席の代金150ドルを全額払い戻ししてもらったのだそうです。

飛行機の安全な運航には色々事情があることは理解できますが、搭乗した後に乗客を降ろすというのはまずその時点で、相当まずい対応(あるいは「よほどのこと」か)だと言えるでしょうね。

それにしても、カボフ氏はこのアメリカン航空の件で飛行機でのチェロの扱いについて世に広く知らしめようとしていたのに、数日後に起こったユナイテッド航空の件ですっかりかすんでしまって、今ごろ複雑な心境なのではないかと思います…

タグ : チェロ事件簿 

2017.04.07
Fri

米ペプシのCMが「炎上」で中止

アメリカで今週公開されたペプシコーラのCMが、ツイッターなどで批判が殺到して問題になったのだそう[ロイター, NYTimes]。

CMは有名モデルのケンダル・ジェンナーが、抗議デモを目にして、みずから列に加わり、警備の警官にペプシを手渡すと、警官とデモ参加者の双方が笑顔になる…という内容。

警官の黒人への暴力に対する抗議活動など、社会的な抗議活動が現実のものとして行われている現在のアメリカで、このような内容を軽々しく(かどうかはともかく)商品の広告に利用することには強い反発があったのだと思います。

このCM、米ペプシはすでに謝罪して公開中止にしたようですが、ケンダル・ジェンナーのYouTubeチャンネルではまだ見ることができました。 このCMでケンダル・ジェンナーがデモに加わるきっかけになる、最初に目が合う人物が、デモの列をなぜかチェロケースを背負って歩くアジア系の若者なんですよね…(1:34ごろ)。 よく似た色のチェロケースを背負っている者として、ちょっと胸が痛みました。
pepsi-jenner.jpg

タグ : CMのチェロ 

2017.04.01
Sat

プレリュードで街歩き

デンマーク放送交響楽団のチェロ奏者、ピート・モリソン氏が、バッハのプレリュードを弾きながら冬のコペンハーゲンを街歩き…

[ICS, Slippediscより]

これを見るとコペンハーゲンに行ってみたくなるような、まるで観光PRビデオのようですが、 動画の説明によると、モリソン氏が自前のiPhone 5で12月から1月の間に撮ったものだそう。 冬のコペンハーゲンは寒く、野外での演奏は指がかじかんで大変だったそうです。

モリソン氏はオーストラリア出身で、シドニー交響楽団のあとデンマーク放送交響楽団に来て約10年ということですから、 異邦人の目から見たコペンハーゲンの街の魅力を自分なら伝えられる、という思いもあったのではないかと思います。

2017.03.28
Tue

親欧州デモでバッハ

ドイツのチェリスト、アルバン・ゲルハルト(47)が26日日曜日ベルリンで、EUを中心にヨーロッパが連帯しようという親欧州派(Pro-European)の運動「欧州の鼓動(Pulse of Europe)」の集会に登壇し、 広場に集まった約7,000人を前にバッハのチェロ組曲6番プレリュードを演奏したそうです。

このデモのことは、きょう28日付の朝日新聞でも記事になっていました。
「親欧州」広がるデモ 独の集会きっかけ、11カ国4万人に [朝日 17.03.28]

 「親欧州」を掲げるドイツ発の市民デモが欧州各地に広がっている。今年1月にわずか200人で始まった集会には26日、11カ国で約4万人が参加し、「市民の手で欧州連合(EU)を守ろう」と訴えた。
 ベルリン中心部ではこの日、約6500人が集まった。1カ月前からほぼ5倍に膨らんでいた。希望者が次々に壇上に立ち、欧州への思いを語っていく。
(中略) きっかけは、英国のEU離脱に続く、米トランプ大統領の誕生だった。4~5月のフランス大統領選、9月のドイツ総選挙への影響が心配だった。いずれも自国第一を掲げる右派政党が台頭している。…

アルバン・ゲルハルトのフェースブックには、彼が演壇で行ったスピーチについても書いてあり、「世界で最も力のある国の大統領に邪悪な道化師が就き、悪夢が現実のものになりつつある世の中を、自由でオープンなヨーロッパで育つ息子たちに見せたくない」などと語ったそうです。

彼のほか、チェリストではジャン=ギアン・ケラスやヨハネス・モーザーらもよくアメリカのトランプ大統領を批判する発言をSNSでしているのを見かけます。

個人的には音楽家が政治に関わる発言をすることにはあやういものを感じ、ヨーヨー・マのように距離を置く姿勢の方がいいのではないかと思っているのですが、とりあえずこれは、春の日差しを浴びながら野外で7,000人がバッハに聴き入るというのがなかなかいいな、と思ったので。

タグ : アルバン・ゲルハルト 

2017.03.27
Mon

ロストロポーヴィチ生誕90年

CELLIST OF THE CENTURY

この3月27日は、偉大なチェリスト、ロストロポーヴィチ(1927-2007)が存命なら90歳の誕生日。 また、命日が2007年4月27日ということで、1ヶ月後が没後10年ということになるらしいですね。

これを記念して、ロストロポーヴィチの録音を集めたボックスセットも発売されているようで、 こちらのワーナーのは「世紀のチェリスト」と題して、ロストロポーヴィチの主な名演をおさめたCD40枚とDVDも3枚ついた43枚組で、1万4千円ちょっと。主な有名曲の演奏がほとんど入っている上に、バッハの組曲全曲はCDとDVDの両方に。ボックスセットというものはそのターゲットのひとつが「ギフト用」らしいですが、もらうのならこちらですね…。
COMPLETE RECORDINGS -LTD-

こちらの独グラモフォンのは、CD37枚組で1万円を切るお値段。 24枚がチェロ奏者としての録音ですが、11枚は指揮者として、2枚はピアニストとしての録音。 バッハの組曲が入っていませんが、ブリテンがロストロポーヴィチのために書いた無伴奏組曲、ソナタ、チェロ交響曲のほか、 (上のワーナーには入っていない)ブリテンのピアノとの共演によるアルペジオーネ・ソナタが入っているところが特徴。

なお、フランスのインターネットラジオ局、France Musiqueでは3月27日の朝7時から夜11時まで(日本時間27日15時から28日朝7時まで)一日中、 ロストロポーヴィチを特集する放送をするらしいです。→France Musique devoile sa webradio 100% Rostropovitch[France Musique 17.03.20]

タグ : ロストロポーヴィチ 

2017.03.23
Thu

エリザベート王妃国際音楽コンクール2017チェロ部門

5月8日からベルギーのブリュッセルで行われるエリザベート王妃国際音楽コンクール2017[公式サイト] で今年初めて開催されるチェロ部門の参加者70名と、審査員の名前が発表されていました。

日本からも7名の方(二重国籍2名含む)が参加するようなので、がんばってほしいです。 このコンクール、これまでピアノやバイオリンの部門で日本人が入賞するとニュースになったりしていたので、注目されることでしょう。

審査員には、ゴーティエ・カプソン、ミッシャ・マイスキー、トルルス・モルク、アントニオ・メネセス、ピーター・ウィスペルウェイ、 ジャン・ワン、フランス・ヘルメルソン、ダヴィド・ゲリンガス…らビッグネームがずらり! これは相当力が入ったコンクールと言っていいのではないでしょうか。

コンクールは、第1ラウンド-セミファイナル-ファイナルとあって、ファイナルではオーケストラをバックに参加者の選んだ協奏曲のほか、大会が委嘱した未発表作品を弾くことになっているのが特徴的。 また、第1ラウンドではピアノ伴奏曲のほか、大会側が指定したチェロ奏者の伴奏でボッケリーニのチェロソナタを弾くことが課題になっていて、これはあまり他のコンクールにはないことなんじゃないか?…と思いました。

このコンクール、今どきのコンクールですから当然ライブストリーミング中継もあると思います。情報は公式サイトの他、フェースブックツイッターでも。

2017.03.18
Sat

クラシック音楽館

あす19日(日)夜9時から放送のNHK Eテレ「クラシック音楽館」で、N響の楽員紹介コーナーにチェロの藤村俊介さんが登場するそうです。コンサートプラスではN響メンバーのチェロ・カルテット、ラ・クァルティーナによる演奏も。

番組HPで予告されているクァルティーナの演奏曲は、ガルデルのタンゴ「首の差で」。 ハバネラ~チェロ小品集~ 藤村俊介

藤村さんのインタビューは、プライベートの趣味のお話が聞けるということで、どんな収録のようすだったかは、ポンセ「エストレリータ」が流れる藤村さんの公式サイトのMessageのコーナーで(Flashプレイヤー要)。なかなか面白いお話になりそうです。

2017.03.17
Fri

マラソンとドボコンを一日で

アメリカのアイオワ大学で教えるチェリスト、アンソニー・アルノーニ氏は昨年9月17日、フルマラソンを完走したその日にドボルザークのチェロ協奏曲のソリストとして演奏する快挙を達成したのだそうで、 米Strings誌のサイトにアルノーニ氏がその日のことを回顧するコラムが載っていました。

アルノーニ氏の正確な年齢がわかりませんが、プロとして30年、とありますから50代というところでしょうか。 元々熱心なマラソンランナーでもあったところ、米ノースダコタ州の地方オーケストラ、ビスマーク・マンダン交響楽団でドボコンを弾くことになったちょうどその日に、 同じ街でビスマーク・マラソンという大会が行われることを知って、この「マラソン+ドボコン」の挑戦を思い立ったのだそうです。 「ドボコンを弾いたチェリストはたくさんいても、マラソンの後に弾くなんてことは、ヨーヨー・マでもしたことがないはずだ!」

朝7時半からのマラソンは4時間を切るタイムでゴールし、シャワーと食事と仮眠をとって、夜7時半からのコンサートでは、 マラソンで出たエンドルフィンはそのままに、足の痛みは忘れ、家族や友人たちのことを思いながらドボコンを弾き切ったのだそうです。

確かに、フルマラソンとドボコンの両方を達成したチェリストは他にいないでしょう。これを超えるならフルマラソンの後にバッハ無伴奏組曲全曲とか?…

2017.03.16
Thu

ヨバノ・ヨバンケ

ずっと前に評判になった、チェロ1本をふたりで弾くデュオ演奏。

6年前にYouTubeにアップされたこの動画がClassicFMのフェースブックページにあらためてアップされたところ、コメント欄が少し荒れていたので何事かと思ったら、"Jovano Jovanke"というこの曲が"Macedonian love song"(マケドニアの求愛の歌)と紹介されていることに対する反発でした。

確かにこの曲についてWikipediaには"Macedonian folk song"と書かれているのですが、 マケドニアというのは、現在のマケドニア共和国だけでなく、歴史的にはブルガリア、ギリシャ、アルバニア、 コソボ、セルビアなどの一部を含む、国境や言語、民族などが複雑に入り組んだ地域全体のことを指すので、この曲に愛着のある人にとっては(国名の)「マケドニア」と限定されることに抵抗があるようです。 反発している人は「ブルガリアの民謡だ」と主張していました。 「(古い)マケドニア地域の民謡」と言えばいいのかも知れません。

この曲の歌詞は、Jovanoという名の娘(英語ではJoan, Joanna. Jovankeは指小辞)に恋する若者が、親の反対で彼女に会えないことを嘆く内容。7/8拍子の不思議なリズム。 この演奏はソッリマの編曲

上で演奏している二人ともチェロを学ぶ学生で、6年経った現在、女性のほうはボストンのニューイングランド音楽院、 男性のほうはパリにいて、今は離れ離れでそれぞれの道を歩んでいるようです…(余計なお世話ですが)

2017.03.15
Wed

「カルテット」の演技指導したチェリスト

放映中で最終回を残すのみとなったTBSのドラマ「カルテット」で満島ひかりさん演じるチェリストの演技指導をしているチェリスト、上地さくら(うえち-)さんが沖縄タイムスで紹介されていました。

クラシック・テレビ・舞台と幅広く活躍 満島ひかりら俳優に演技指導も [Yahoo!News経由沖縄タイムス]

そういえば、満島ひかりさんも上地さくらさんも同じ沖縄県出身。 カルテット DVD-BOX(オリジナルコースター4枚セット)

このドラマ、初回からずっと、登場人物の交わす会話に引き込まれながら見ているのですが、 4人が演奏するシーンでは特にチェロの満島ひかりさんがちゃんとブレスをする姿がすばらしいと思っていて、これは満島ひかりさんの演技力もあるでしょうが、指導をされた方の功績も大きいだろうと思っていました。

ドラマの中での弦楽四重奏は実際に幅広いジャンルで活動しているクァルテットパパスだというのも、 番組公式サイトでクレジットされているのですでによく知られたところ。

クラシック界でやっていくだけではない、自分独自の居場所を模索する姿は、ドラマの中のカルテットドーナツホールと重なって見える部分もあります。

タグ : ドラマのチェロ 

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