2016.10.19
Wed

イッサーリスの髪の毛と首の問題

Cello Suites CD,

来日中止が発表されたスティーブン・イッサーリスが、きのうフェースブックに書き込んでいた文章が面白かったので。

数週間前、息子のガブリエルが(彼の好きなことのひとつだが)パーティに行って、ある若手チェリストから私への質問をあずかって帰って来た。
きみのお父さんは、髪の毛がチェロの弦にからまったりしないのか?
この質問を伝える息子のいたずらっぽい笑顔をどう思ったかはともかく、もっともな質問ではある。

答えはイエスで、よくあることだし、困ったことでもあるのだが、真面目な話、それはあってはならないことだという理由がある。 髪の毛が弦に近いということは、頭がいちばん楽な位置よりも楽器に近づきすぎていることを意味する。これはよくある問題だ。 よく首がC線のペグの下にくっついてしまって、自分の首とチェロのネックとが一体化しているようなチェリストを見かける。 そのほうが安心だという感覚にとらわれているのだろうが、それは間違っている。 首の位置を固定することは緊張の兆候であり原因にもなる。

どんな楽器でも、頭と首は自由でなければならない。 よくピアニストが首を固くして、目だけが忙しく鍵盤と楽譜を行ったり来たりさせているが、そういうピアニストを見るのが嫌いだ。 どうしてそうやって音楽を楽しむことができるだろう? 首は自由にしたほうがいい。首は、頭や肩や背中にも影響する。 また、首を固くしているとリラックスして呼吸することもできなくなる。
私が記憶[訳注:たぶん暗譜]についてパニックを起こすときは、たいてい原因は首を固定してしまっているときで (私の場合、C線のペグの下ではないが、同じ角度になっているとき) そのために呼吸、ひいては思考が妨げられているときだ。 そんなとき私は、意識的にどこか別の方向を向くようにしている。 首の角度がリラックスしていさえすれば問題はない。 その動きそのものが首を自由にしてくれるのだ。 これは頭を揺り動かすこと(私が時々あとで恥ずかしくなるくらいやっていることは知っているが、気持ちいいのだ!)とは違う。
私が言っているのは、多くのチェリストが頭を右でなく左に傾けてしまっていることに対してで、 あなたの頭と胴体の間についている、ヘンリー八世の妻たちが大事にしたもの[訳注: ヘンリー八世は妻たちを次々と斬首したと伝えられている]は、自由で制約を受けないようにするべきもので、あなたの脳から手や腕への大切なメッセージの通り道だということだ。

レッスン、というか質問に対する回答はここまで。
[拙訳: 原文 - Steven Isserlis - Facebook]

後半は、イッサーリスが演奏する姿を思い出すと、少し笑えると同時に、なるほどと思えてきます。

投稿時刻から見て、アジアツアーからロンドンに帰る飛行機の中で書いたか思いついたかして、ロンドンからアップしたのではないかと思います。来日中止はご家族の病気の事情ということですが、少なくともイッサーリスはいつも通りだということがわかって安心しました。

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タグ : スティーブン・イッサーリス 

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