2016.08.12
Fri

リオ五輪の国歌

リオデジャネイロ五輪で演奏されている「君が代」がゆっくりだと話題になっていますが、自国の国歌が「何か違う」と感じているのは日本人だけではないらしく、アメリカ人にはオリンピックでのアメリカ国歌 "The Star-Spangled Banner" の演奏に違和感を感じる人がいることが、ニューヨークタイムズで記事になっていました。

At Rio Olympics, the National Anthem Sounds … Sad? [NYTimes 16.08.11]

これによると、オリンピックで流れているアメリカ国歌は、通常よりもキーが高くて歌いにくいこと、 またオーケストラの伴奏で通常は長調の和音がつくところに短調の和音がついているのが、暗くて違和感を感じるのだそう。 例えば、最後のほうで"...land of the free!" ~と高い音で盛り上がるところ。

「君が代」のテンポに比べれば、微妙でわかりにくい違いかも知れませんが、この歌を何度も聞いたり歌ったりしているアメリカ人には気になる人がいるようです。

この音源は、前回ロンドン五輪のときにイギリスの作曲家でチェリストのPhilip Sheppard氏が各国の国歌を一括して編曲し、ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団が録音したものだそう。

国旗掲揚と表彰式の進行のため、国歌を60~90秒におさめることには苦労したらしく、例えば、6分半もかかるウルグアイの国歌は大幅にカットし、9小節しかないウガンダの国歌は繰り返しを入れたりしたのだとか。

[追記]
アメリカの音楽批評家アレックス・ロス氏は上の記事に対して、短調の和音をつける編曲はポップス歌手が歌うバージョンの影響と思われ、短調の和音だから違和感があるというのはやや愛国主義志向が過ぎるのではないか、と指摘。あわせて、アメリカ国歌の編曲が議論を呼んだのは、1944年のストラヴィンスキー版(装飾が多すぎ)、1892年のスーザ版(ワーグナー風)、2004年アテネ五輪版(優雅すぎる)など、過去に何度もあったことを指摘していました。

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ちなみに今回の「君が代」の音源は、ソチ五輪に合わせて下野竜也さん指揮の読売日本交響楽団が演奏したものだそうで[読響HP]、 この中で「国際オリンピック委員会(IOC)の要請で従来より少し長い演奏となった」と書かれています。

これについてチェリストの山本裕康さんがブログで、音楽家の判断でなく、依頼者側の都合でテンポに注文をついたことに疑問を呈しておられたのも、一部なるほどと思いました。

ただ、儀式やイベントの都合で演奏に制約や注文がつくことは、プロの仕事の現場にはよくあることかと思われ、それに対して音楽的に逸脱しない範囲で対応するのも、またプロならではの技ではないかな…とは思いました。今回の「君が代」テンポが、音楽的に逸脱しない範囲の内か外かは、いろいろな感じ方があるでしょうけど。

[追記]
後日、リオでの「君が代」のテンポが遅いことについて、朝日新聞が記事にしていました。
リオで流れる君が代、なぜゆっくり? 実はソチでも… [朝日16.08.16]

読響が演奏したというあたりは、上記の通り。その他、今回の「君が代」は1分17秒、NHKの君が代は57秒、ロンドン五輪では前奏をつけて1分以上にしていた…。国旗・国歌法を所管する内閣府大臣官房総務課によると、法律で定められているのは歌詞と旋律のみで、テンポの決まりはないものの、陸上自衛隊中央音楽隊の「君が代」の楽譜には「テンポ=69」の指定があり、これだと1分弱とのこと。

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