2016.04.06
(Wed)

「パナマ文書」にチェリスト

大きなニュースにチェリストが登場することは少ないのですが… 国際的な報道機関が入手したタックスヘイブンに関するファイル(いわゆる「パナマ文書」)に、プーチン大統領の親しい友人のチェリストの名前があったのだそう。

サウジ国王・プーチン氏友人…租税回避地に関係会社[朝日 16.04.04]

カリブ海の英領バージン諸島などのタックスヘイブン(租税回避地)に設立された21万余の法人に関する電子ファイルを、 南ドイツ新聞と非営利の報道機関「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)が入手した。 中には、ウクライナのポロシェンコ大統領やサウジアラビアのサルマン国王、ロシアのプーチン大統領の友人らの関係会社の記録が含まれていた。

タックスヘイブンは、法人税や所得税の税率がゼロか極めて低い国や地域。脱税や資金洗浄の温床になっているとの批判も根強い。近年、多国籍企業や富裕層がタックスヘイブンを使って合法的に租税を回避することで各国財政が悪化しているとして問題化。乱用を防ぐためのルール作りが国際社会で検討されている。

今回ICIJが入手したのは、タックスヘイブンの会社設立などを手がけるパナマの法律事務所の膨大な内部ファイル。1977年から2015年にかけて作られた文書やメールで、バージン諸島やインド洋のセーシェル、英仏海峡のガーンジーなどにある会社の株主や役員などの情報が含まれている。

(中略)ICIJが注目するのは、ロシアのプーチン大統領の友人でチェロ奏者のセルゲイ・ラルドゥーギン氏。 同氏はタックスヘイブンの複数の会社の所有者となっており、これらの会社に資金が流れ込んでいた。 プーチン大統領の周辺で少なくとも20億ドル(2千億円余)が、タックスヘイブンの会社や銀行を行き来したと、結論づけている。

クレムリンの広報担当者はICIJの質問に答えず、ICIJの質問の一部を公表。「プーチン氏への攻撃を準備している」と非難声明を出した。…

このニュースを最初に英語で詳しく伝えたのは英ガーディアン。ICIJの記事はこちら

ラルドゥーギン氏の名前を聞いたことがあると思ったら、去年のチャイコフスキー・コンクールのチェロ部門の審査員のひとりでした[過去記事,公式]。

1951年生まれのラルドゥーギン氏は、'52年生まれのプーチン氏と歳も近く、ラルドゥーギン氏がレニングラード音楽院、プーチン氏がKGBレニングラード支部にいた70年代からの友情関係にあったようで、プーチン氏の長女の名づけ親にもなっているそうです。

チェリストとしてのラルドゥーギン氏の演奏。2013年、オーストリアの音楽祭で。曲はシューベルトのピアノ三重奏曲第1番。

余談ですが、ヴァイオリンを、よくコミカルな動画で笑わせてくれるアレクセイ・イグデスマンがまじめに弾いていて、ちょっとびっくりしました。

***

[追記8日] プーチン大統領は7日、会見でこの疑惑を否定。ラルドゥーギン氏について「保有する株式から得た利益を外国での楽器の購入に充て、楽器は国に寄付している」「しかし、利益が数十億ドルもあるわけがなくナンセンスだ」「このような友人がいることを誇りに思う」と擁護したそう[NHK, Tass英語]。
ロシアにはどれだけたくさん名器が揃っているんだ…とツッコむひとがいそう。

この件で恐れられるのはチェリストがスケープゴートにされて終わる展開だったけど、少なくともプーチン氏がチェリストとの友情関係を認めて擁護したことで、最悪の事態は避けられたのではないかと。

[追記11日] 英ガーディアンによると、ラルドゥーギン氏は疑惑発覚後初めて10日、ロシアのテレビニュース(おそらくこれ)に登場。若い音楽家たちが研鑽に励む様子を紹介し、彼らが使う楽器を海外から購入する資金の大半は、氏が集めた「寄付」によるものだと説明したそう。ストラディバリウスだというチェロを自ら取り出して弾いて見せる一幕も。

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タグ : チェロ事件簿 

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