2016.03.23
Wed

「チェロの日」のいろいろ

「チェロの日」2日目、リハーサルが終わって本番前の1時間ほどの間、参加者が倉田澄子先生と宮田大さん師弟に直接お話が聞けるゼミナール。 「チェロの日」では毎回こうしたセミナー形式のイベントもあるのが楽しみなのですが、今回ゲストがこのお二人とわかったのは数日前のことで、びっくりしました。

お二人の話は、出会いからレッスンの思い出話、演奏家・音楽家としての考え方など、どの言葉も貴重で、その全てをメモすることはできませんでしたが、中でも印象に残ったのは、出したい音のイメージを持って、その音を探す、というお話。 倉田先生は、練習のときまず満足のいく音が出るまで開放弦のロングトーンを弾くということをおっしゃっていたし、 宮田さんもどう弾きたいかのイメージを持つこと、擬音語で歌ってみる、といったことをおっしゃっていました。

お二人共、一つ一つのエピソードを話す言葉から素晴らしい人柄が溢れていて、この二人が師弟として出会ったことが一つの奇跡なのではないかと思えました。 お二人のお話を聴いてすぐコンサート本番のあるブルーローズに入った参加者は皆、少し特別な気持ちでチェロを手に取ったのではないかと思います。

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話は戻って、初日のコンサート。ブラームスのソナタ2番を弾いた黒川実咲さんは、以前聴かせてもらった時よりずっと大人っぽくなって堂々とした演奏。 後で懇親会でお話させていただいたら、やっぱりまだ可愛らしい娘さんといった風情で、演奏のときとギャップがあるのがまた魅力だと思いました。

髙木慶太さんはバンドネオン(鈴木崇朗さん)と二人だけで、ピアソラとバッハを組み合わせたプログラム。 チェロとバンドネオンだけでバッハを聴くと、バンドネオンが小さな教会の足踏みオルガンのような懐かしく親密な空間の響き。 でも、この日一番熱狂的な拍手を集めたのは、ピアソラの「ル・グラン・タンゴ」の熱演。 髙木慶太さんはオーケストラでも室内楽でもマルチに活躍していますが、おそらく日頃から「『好きにやっていいよ』と言われたらこんなことやってやろう」と思っておられるんだろうということが、客席にいるこちらにも伝わってくる痛快な演奏でした。

(なお、黒川実咲さんも「ル・グラン・タンゴ」はレパートリーに入れていて、今回の候補に考えていたけれど髙木慶太さんと「かぶって」しまったのでブラームスにした、という話を本人にうかがいました、って言っていいのかな?… 黒川実咲さんの「ル・グラン・タンゴ」も聴いてみたい!)

Ave Maria (アヴェ・マリア)堀了介&堀沙也香 堀了介先生と堀沙也香さんの父娘デュオは、親しみやすい曲のプログラムで、多くは右のCDに所収。 一緒に聞いたチェリスト仲間は皆、自分も弾いて堀先生(か沙也香さん)になりきってみることを妄想したのではないかと思います。

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「チェリストの集い」を指揮・指導して下さった山本祐ノ介さんは、今年は少し厳しくなったねという声。 第6回と回を重ねて「ようやく厳しく言ってもらえるレベルになったということだよ」という声も。

メインのヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ第1番」は4年連続。 この曲が弾きたくて参加したというチェリストもたくさんいて、中には4年間毎年違ったパートを希望してついに「グランドスラム」を達成した人も(私は3と1)。

今後もこの曲を弾き続けるのかどうかわからないけれど、チェロが大勢集まったコンサートのメインに据えられるだけのスケールの曲が他にあるか?というと中々難しく、クレンゲル「賛歌」やカザルスの「サルダナ」他、何曲かはあるけど、そうたくさんはない。 編曲ものなら色々な可能性があるけど、やはりチェロのために書かれたオリジナル曲を大事にしたい、という思いもあるでしょう。

世界各国にチェロ協会(Society)やチェリストが多数集まるイベントはたくさんあって、このブログでも見つけると時々話題にしていますが、プロや音大生ではないアマチュアがこれだけの数集まってブラジル風バッハほどの曲を弾くのはあまり見たことがありません。こんなところは日本のアマチュア・チェリストの真面目さ、勤勉さかも。

そのイベントのために作曲された委嘱作品というケースもよく見かけます[過去記事]。 たとえば若い小林幸太郎さんのような方が、チェロがたくさん集まったときに弾く「チェリストのチェリストによるチェロのための曲」を書いてくれたら、ぜひ弾きたいと思ったりもします。

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タグ : チェロの日  宮田大 

コメント

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2016/04/13 (Wed) 14:31 | # | | 編集

> 鍵コメさま
おお、情報ありがとうございます(^^)。
こういうものはすぐにとはいかないかも知れませんが、みんなの声を合わせれば、いつか実現するかも知れませんね^^;

2016/04/14 (Thu) 00:43 | yoshi #ZQHR2uUw | URL | 編集

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