2015.10.11
(Sun)

マスタークラス

10日夜、サントリーホール・ブルーローズで日本チェロ協会の「マスタークラス/特別演奏会」。講師のバルビ先生はテキサスの大学で教えておられ、堤剛先生と同じシュタルケルに師事された方。

マスタークラスでは高校生と大学生、奇しくも同じハルカさん2人が、高校生のハルカさんはドボルザークの協奏曲の3楽章、大学生のハルカさんがエルガーの協奏曲3、4楽章といずれも難しい曲で立派な演奏を聴かせてくれた。

バルビ先生は1人目の高校生のハルカさんに「チェロという楽器のこともこの曲のことも知らないかも知れない聴衆にこんなにすばらしい曲だと伝えるつもりで」 と演奏態度のようなことについてお話された。だから楽譜にあまり目を落とさないで。ボディランゲージも使っていい等々。

これを聞いて、ステージ上にいる彼女が単にチェロが上手な高校生ではなく、将来の演奏家・音楽家なのだということをハッと思い出したのだった。この日の客席のように、チェロとドボコンのことなら長くよく知っているつもりのおじさんおばさんたちがずらりと並んでいたとしても、そこではドボコンは「彼女のもの」なのだ。

われわれアマチュアにも参考になりそうな技術的アドバイスもあった。3楽章の序盤、フラジオレットでとれるD線の高いAから弾き始めるところ。 ここは準備をしようにもオーケストラが鳴っていると(この日のようにピアノ伴奏でも)難しいが、フラジオレットの振動の"谷間"を指で感じるようにすれば音を聴かなくてもとれる...。 これはちょうど11日朝の「題名のない音楽会」で宮田大さんがドボコン3楽章を弾いていたので見たら、確かにそのようにして、宮田さんですら慎重にAの音をとっているように見えた。

3重音(4重音)について、後半のエルガーの協奏曲を弾いたハルカさんのときにより詳しくおっしゃっていたが、下の2弦に弓をのせた状態から、強く圧力を掛け、すぐさま上の2弦を弾く、強い弾き方を実践しながら指導しておられた。ロマン派の曲(ということはバロック音楽は例外として)の重音では、という説明だった。 そういえば以前ドボコンのレッスンでも(そのときは3楽章でなく1楽章だったが)「ズザンでなくズジャー」と教わった。 このあたり、七夕にコダーイの無伴奏を弾いて重音に問題意識を持っていたたこすけさんがこの場にいたら身を乗り出したにちがいないと思った。

強いアタック、「子音」の発音をはっきり、ということも繰り返しおっしゃっていた。

チェロの構え方について、エンドピンを支点に少し回転させて弦を正面に出して弾くというのは、これまであまり聞いたことがなかった。 例としてブラームスのソナタ1番の冒頭をC線で弾き、それからA線に移るときクルッと楽器の角度を変えて弾いて見せてくれた。

難しい高いポジションを弾くときに首を動かすと首や肩が緊張する、指板をのぞきこんでもそこには何もない、と耳が痛くなるような注意もあった。

後半は、バルビ先生とピアノのリン夫人の特別演奏会。 プロコフィエフのチェロソナタは聴衆にとっては難しい曲だが、この曲の持つ何かを作曲家に代わって聴衆に伝えようとするという、まさに公開レッスンで言われた演奏態度とはこういうことかと思わされた。

バルビ先生と堤先生の二人とピアノによる「Nagi」は、チェリスト小林幸太郎さん作曲の曲の初演。日本的な音楽と近現代のいろいろな音楽の要素が合わさったようなスケールの大きな曲で、チェリストとしても作編曲家としても活躍する幸太郎さんの存在は頼もしい限り。

最後は3人とピアノによるポッパー「レクイエム」。アンコールはバルビさんがヨアヒム・ニン「スペイン組曲から第2楽章“ムルシアーナ”」。

チェロ協会ではこのあとも公開マスタークラスなどイベントが10月24日と11月13日にある予定。

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コメント

No title

パソコンの画面に向かって身を乗り出して読ませていただきました。ありがとうございます^^;

2015/10/19 (Mon) 13:31 | たこすけ #vkcXtX9g | URL | 編集

> たこすけさん
どうも。聞いたことを書くのって難しいものですね。他にも、弾いたら弓を弦から放して雑音を出さないとかなんとか…

2015/10/19 (Mon) 22:57 | yoshi #ZQHR2uUw | URL | 編集

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