2015.09.27
(Sun)

ショパン「序奏と華麗なるポロネーズ」

このところ難しい曲ばかり弾いているので、ここらで楽しく華やかな曲を弾きたいと思って弾き始めたのが、 ショパンがピアノとチェロのために書いた「序奏と華麗なるポロネーズ」Op.3。

実は、そろそろ来年あたり、久しぶりに発表会がありそうな流れでもある。チェロの勉強になり、かつ発表会向けの楽しい曲というと意外と見つからないもので(暗い曲ならたくさんあるのだが)そんな中で浮上したのがこの曲。ショパンがまだパリに行く前、ウィーン時代に「サロン向け」に書いた作品で、献呈されたチェリストは、個人的にはシュレーダーの教本に載っているエチュードでお世話になったメルク(Joseph Merk, 1795-1852)。※追記3参照

これまでチェロの発表会というと、そのとき弾けそうなぎりぎりの難曲・大曲に「挑戦」するという色合いが濃かった。ベートーベンのチェロソナタ3番や(5年目に1楽章、7年目の3楽章)、アルペジオーネソナタ(1楽章、9年目)など。それが、前回の発表会(一昨年12月、11年目)あたりから少し考えが変わった。このときは、チャイコフスキー「ノクターン」とシューマン「アダージョとアレグロ」の2曲を弾いたのだが、それまで難しいソナタを聴かされた人たちの何ともコメントに困ったという顔とは違って、 聴いてくれている人が楽しんでくれている笑顔を少しだけ感じることができたり、ピアニストの先生とアンサンブルしている楽しさを実感できたのだった。

「序奏と華麗なるポロネーズ」に話を戻して、この曲が浮かんだきっかけは、今年のヴェルビエ音楽祭でエドガー・モローがこの曲弾いている動画を見たときで、 このときモローが技巧を凝らして弾いた序奏が終わっただけで、まだ曲の途中なのに、避暑地の聴衆たちから拍手が起こっていた。もちろんそんな技巧を凝らさなくても、一般に売られている楽譜なら練習すれば弾けるのではないかと思ったのだが…
ショパン : 華麗なるポロネーズ Op.3/インターナショナル・ミュージック社ピアノ伴奏付チェロ・ソロ用編曲楽譜

出版されている楽譜には、レナード・ローズ編のIMC版とモーリス・ジャンドロン編のSchott版とがあり、 基本的な旋律部分は同じだけど、装飾的な部分がジャンドロン版でやたら難しそうに見えたので、IMC版のほうを購入した。

ただ、このIMC版でもやはり装飾的な部分が相当に難しいことがわかってきた。今この瞬間ではよく練習しているドボコン3楽章の方が弾き易いとさえ感じるほど。

この他にIMSLPからダウンロードできる楽譜にはPeters版やBreitkopf版があり、これらがむしろ原曲に近いのかも知れないが、これらの版はチェロがあまり技巧を凝らすところはない。これでは、ピアノが主役でチェロが脇役という場でならかまわないが、チェロの発表会で弾くには何だかピアニストに申し訳ない。

チェロが主役に聴こえるくらいには演奏効果があって、かつそれほど難しくない「中くらい」の編曲があればいいのだが、それは無いものねだりというものか。

**

リン・ハレルによるこの曲の演奏。先生にあたるローズ編のIMC版楽譜がほぼこれに近い。若いピアニストとの共演でいい味。

(YouTubeには他にジャンドロン自身による演奏動画もある。出版されている楽譜と同じかどうかは不明)

[追記1] 参考までに、ASTA(全米弦楽器指導者協会)によるこの曲の難易度レベルは10。ただし、Peters版とIMC(International)版とが同列に扱われていて、少し疑問。Peters版ならもう少し易しく、IMC版ならもう少し難しく感じる。

ショパン:チェロ・ソナタ、序奏と華麗なるポロネーズ/シューマン:アダージョとアレグロ

[追記2] ロストロポーヴィチがピアノのマルタ・アルゲリッチと1980年に収録した録音があることを知った。この録音では上の技巧的な部分は省いた、楽譜でいえばPeters版に近い演奏をしていた。アルゲリッチを引き立てる意図もあったかも知れないし、ロストロポーヴィチほどになれば、この曲を技巧的な編曲で弾くまでもないと判断したのかも知れない。

[追記3] 2016年12月、NHK「名曲アルバム」でこの曲がとりあげられ、作曲にあたってもう少しそれ以前の経緯が紹介されていた→名曲アルバム[16.12.07]

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タグ : リン・ハレル 

コメント

No title

この曲、古川さんの合宿で、お弟子さんである音大生の女の子がレッスンを受けて最終日の発表会で弾きました。若い苦悩が感じられるような全身全霊の演奏がフレッシュでとても良かったのですが、そのあと古川さんが同じ曲を弾かれて、油が乗り切った自身に満ちた力強い自在な演奏は「同じ曲とは思えない」ほどでした。このリン・ハレル氏の演奏はまたまた「同じ曲とは思えない」ほど軽やかで楽しく明るい演奏ですね。アレンジが違うとしても、弾き手によって曲の印象が全然違うとビックリしています。こんなスゴイ曲に挑戦できるなんて羨ましいです。がんばってください。

2015/09/28 (Mon) 22:54 | yuriha #- | URL | 編集

古川さん

> yurihaさん
古川展生さんの「序奏と華麗なるポロネーズ」!…すばらしかったでしょうね!聴きたかったです。
そういえば古川さんの合宿、今月あったのでしたよね。案内を頂いた頃には箱根山の噴火があってどうなるかちょっと心配したものでした。
何度か書いていますが、ずっと以前、古川さんの熱い指導を受けて一緒に弾かせてもらったのが今まで続いている力になっているので、いつかまた叶うなら古川さんの前で弾いてお礼が言いたいと思っています。

2015/09/29 (Tue) 09:02 | yoshi #ZQHR2uUw | URL | 編集

No title

yoshiさーん こんにちは!
ヨユウ!ですね!私はいっぱいいっぱいでしたが 懐かしくなってCD集めてみたら8枚もありました。(よろしければ来週お貸ししますよ!)
アルゲリッチは後にミッシャ・マイスキーとのライブ録音も出しています。聴いてるとどちらもつくづく 主役はピアノだ! と思ってしまうのは さすがアルゲリッチですね。

> Naoさん
こんにちは!前に弾かれたことがあるんですね?CDを8枚とはすごいです。
私の場合ヨユウというわけではなくて、どうせならピアニストと対等に近い関係を築きたいんですね(^^;)
その後IMCの楽譜で練習していたら、少しずつ光が見えてきたような気が…
そんなわけでこのリン・ハレルの演奏をお手本にがんばってみようと思いますが、他にも「これはチェロが主役」っていう演奏を教えていただけたらうれしいです。
来週お会いできるのを楽しみにしています!

2015/10/14 (Wed) 00:57 | yoshi #ZQHR2uUw | URL | 編集

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