2015.07.08
Wed

七夕にブラームスを弾く

七夕にチェロ弾きばかり30数人が集まった会でブラームスのソナタ1番1楽章を弾いて、N響のSさんからアドバイスをもらう機会があった。

Sさんには、初めてお会いした8年前から時々アドバイスをもらったことがあって、4年前にはボウイングのことをみっちり教えてもらったりしたことがある。 そのうえSさんとは同い年ということもあって、個人的に交わした言葉の数はあまり多くないけど、特別な親しみと尊敬を感じている方。

今回久しぶりにSさんと、チェロ"同期生"を含む大勢の親しいチェロ仲間の前で何か弾けということになって、 ならばブラームスのソナタ1番が、自分がチェロでどういう音を出せるようになったのかを見てもらうのには最適の曲、と考えて申し出たのだった。 レッスンでは、今年1月から4月まで(#270~#275)と前回(#280)に見てもらった曲。

Sさんからのアドバイスは、まずこの曲は「ピアノとチェロのためのソナタ」であるから、ピアノをよく聞くことに気をつけて、という話をされた後、主にボウイングのこと。

右手首が固まっている、弓元に(アップで)持ってくるときに、手のかたちをそのまま、 少し手首を上げて、肩を上げない、こねないで(実際に手を取ってくれたり、実演してくれたりしながら)... そうしてロングトーンの練習をしてみたら、ブラームスのこの曲の深い音に近づけるようになる....

ブレスをして...冒頭のフレーズを長く長く....たとえば冒頭1小節の付点音符と8分音符とにブラームスはなぜスラーをつけなかったか?.... (ここは多くの演奏例を見て、スラーをつけて弾いた) そういうことも勉強しなくてはいけない.... 体の中にテンポ感を入れる必要もある。弾いているときの姿勢はちゃんと重心が下に行っているので、少し上半身を使ってみてもいい...

音楽を聴いてもらうには、もう少し視野を上げて、空間を使うつもりで弾くと、もっと音が伸びる...

またこの日いらした若手チェリストのHさんにも、ボウイングのこととビブラートのことをアドバイスして頂いた。

どれも、その場ですぐ治ったり、目からすぐに鱗が落ちたり、とはいかない難しいアドバイスだったが、 以前より良くなったところは良いところとして褒めてもらえ、今後の目標になるいいアドバイスをたくさんもらうことができた。 この場で弾くまで本当に緊張したけど、このような場をもらって良かったと思った(ありがとうございました)。

経験年数を積むとそれなりに場数は経験するものだけど、自分が自分に「これくらいできるはず」と課す“期待値”も上がってしまうし、たくさんの仲間の顔も浮かんでしまうので、緊張するのはあまり変わらないものだと思った。

Sさんが指摘してくれた「肩が上がる」「手首を固める」クセは、体のどこかに組み込まれているのか、実は昔からテニスでも出るクセによく似ている。試合が劣勢になったりすると、より力を入れるつもりでそうなってしまう。これは、いかにもがんばって力がこもっているように見えて(自分もそのつもりでいて)実はラケットヘッドのスピードが出ないのでそれほど球が伸びていかない。 そのクセがテニスであまり出なくなるまでには、いろんなことが必要だったし、完全には治らなかったわけだけれど...。

レッスンで見てくれているR子先生にとっても「肩が上がる」クセは、長い時間をかけて少しずつ治ってきた課題と思っておられるよう。

なお、4年前にSさんがアドバイスしてくれたのは(というより、受け取ることができたのは)「右手の小指をはずす」ことで、その後少し右手が楽に動かせるようになった。

ブラームスのソナタは、1楽章の冒頭8小節だけ聴いてもらえれば、というつもりで練習してきた。 そこを深く、小さくない音で、ビブラートに頼らずに弾き出せたら...というようなことを考えていた。 結果は、あそこで出た音がすべて、としか言いようがない...

それにしても!....自分の演奏の録画を見返すときの情けなさといったら! 音程、リズム、音色、すべてが「こんなにひどかったのか」と恥ずかしくなる。特に許せないのは、音符の音価いっぱいに音を伸ばさず、途切れるところ...。今回はiPhoneで、以前書いた人形を“自撮りスタンド”に使って録画した。

録画を見ると、自分では相当大きく腕を使ったり体を動かしたつもりのところでも、実際にはさほど動いていない。 そこにあるのは、カチコチに緊張しながら、それでもどうにか取り繕おうとしている自分の無様な姿で、全く情けない。これを、よせばいいのに打ち上げの席の合間に見てしまったものだから、その後少し悪酔いしてしまった... (自分の録音・録画は「ガマンして3回見ると慣れるよ」と言ってくれた人がいた)

今回はその他、全員でのチェロ・アンサンブルで「たなばたさま」「巡礼の合唱」などの演奏を楽しんだ。このときも運よくSさんのすぐそばで弾くことができ、サティ「ジュ・トゥ・ヴ」では「そんな弾き方じゃ口説けない」といって弾いてくれた「口説ける」弾き方を、間近でこの目にすることができた[リンク先はこの日使った楽譜 - 同人音楽の森]。

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