2015.01.07
(Wed)

オリンピックのチェリスト

アメリカのチェロ情報サイトCelloBelloで、スペインのチェリスト、ルイス・クラレット(1951-)が1992年バルセロナ五輪の閉会式で「鳥の歌」を弾いている映像を紹介しているのを見ました。 ルイス・クラレット氏は昨年も来日して日本チェロ協会でマスタークラスを行ったりしており、そのときのプロフィールで氏がバルセロナ五輪で「鳥の歌」 を弾いたことは読んでいましたが、映像は初めて見ました。

歌っているのはやはりスペイン・カタロニアのソプラノ歌手で、ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス(1923-2005)。「鳥の歌」で聖火を消すという演出に、あっと思いました。

思い起こされるのは、もちろんパブロ・カザルス(1876-1973)のこと。実はカザルスとオリンピックにも深い因縁があったのだそう。

一九九二年のバルセロナ・オリンピックの閉会式で、カタルーニャ民謡「鳥の歌」が、歌つきで演奏された。だいぶ前のことであるが、僕の胸は熱くなった。実はカタルーニャ人にとって、バルセロナ・オリンピックも、「鳥の歌」も、ある感慨が秘められていたのだ。カタルーニャはスペイン東南の自治州で、バルセロナはその首都である。

それは五十六年前の一九三六年、第十一回オリンピック開催地はナチスのベルリンに決まったのだが、次点だったバルセロナで、反ファシズムの人民オリンピックを開こうとしていた。 カタルーニャが生んだ巨大なチェリスト、パブロ・カザルスは、開会式でベートーベンの「第九」を指揮することになっていた。 ところが数日前、ヒトラーに後押しされたフランコ軍と政府軍との間に内乱が勃発、人民オリンピックは中止になった。 だが一週間後、ベルリン大会で、高らかに「第九」が演奏された。 カザルスは「ファシズムのあるところに平和はない」といって、ピレネー山脈を挟んだ反対側のフレンチ・カタルーニャのプラドという寒村に亡命した。...
[大木雄高 音曲祝祭行 「アサヒグラフ」1998.05.15 ※強調は筆者]

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オリンピックの開会式または閉会式で弾いたチェリストというと、記憶に新しいところでは、 2012年のロンドン五輪閉会式でジュリアン・ロイド=ウェッバーがエルガー「愛のあいさつ」を弾いたのと[過去記事]、 2002年のソルトレイク冬季五輪開会式でヨーヨー・マがスティングと共演したことがありました[YouTube]。

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タグ : パブロ・カザルス 

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