2014.04.11
Fri

忘れられかけている?ボッケリーニのチェロ協奏曲

レッスンで新しくボッケリーニのチェロ協奏曲変ロ長調(第9番、G.482)を教えてもらうことになった。

この曲の存在は知っていていたけど、聴いたことはなかったし、弾いたというひとの話も聞いたことがなかった。 聴いてみると、明るく華やかなテーマから始まり、流麗な旋律もあり、チェロの技巧と音域をいっぱいに使う、勉強しがいのある曲だと思った。何よりR子先生がすすめてくださったのだから、これはもう断る理由がない。

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この曲について、以前「モーストリー・クラシック」のチェロ特集にあった紹介記事を引用すると:

ハイドン:チェロ協奏曲第1番 ボッケリーニ:チェロ協奏曲 ジャクリーヌ・デュプレ ボッケリーニ(1743~1805)のチェロ協奏曲変ロ長調は、ハイドンの2つの協奏曲とともに、古典派時代のチェロ協奏曲を代表する存在である。 現在広く演奏されているのは19世紀後半にドイツ人チェリスト、フリードリヒ・ヴィルヘルム・グリュツマッハーによる改訂版で、これはボッケリーニのオリジナルに大幅に手が加えられている。 ボッケリーニの書いた草稿が発見され、オリジナル版での演奏も可能となった後も、この改訂版による演奏が一般的だ。 自由に展開する美しい旋律はチェロの魅力を活かしたもの。 デュ・プレのチェロ、バレンボイム指揮、イギリス室内管弦楽団による演奏が秀逸だ。
(音楽評論家 岡本稔氏 忘れてはならない名協奏曲 モーストリー・クラシック 2012年11月号 p58)

TBS Vintage Classics ボッケリーニ&ドヴォルザーク:チェロ協奏曲
カザルス(パブロ)

また、ちょうど最近、カザルスが1961年に来日して指揮したときの音源が「発見」されたというニュース[共同 14.03.04]があった。この中に入っていたのが、カザルス指揮、東京交響楽団の演奏で平井丈一朗さんが弾いたボッケリーニのチェロ協奏曲だった。

カザルス指揮の音源を発見 TBS、61年の来日公演 [共同 14.03.04]
スペイン出身の世界的チェリストで指揮者、作曲家のパブロ・カザルス(1876~1973年)が半世紀前に行った来日公演の録音テープが、カザルスに師事していたチェロ奏者平井丈一朗さん(76)の東京都内の自宅で見つかった。カザルスを招聘したTBSが4日、発表した。
TBSによると、公演は61年4月14日に東京・日比谷公会堂で開催。テープの音源はカザルス指揮のボッケリーニのチェロ協奏曲第9番で、平井さんがソリストを務め、東京交響楽団が演奏した。
当時、TBS主催の演奏会では計6曲が演奏されたが、このチェロ協奏曲の収録テープだけ行方が分からなくなっていたという。

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ボッケリーニの作曲ではあるけどグリュッツマッハー(1832~1903)が改訂している、ということから、音源と楽譜を探す上でもちょっと戸惑った。

演奏としてはデュ・プレの他にカザルス、フルニエなど錚々たる顔ぶれがグリュッツマッハー版の録音を残している一方、少数ながらオリジナル版の演奏もある。 ヨーヨー・マには両方の録音がある。YouTubeでこの曲名で検索で出てくる演奏にも2種類がある。

オリジナル版とグリュッツマッハー版とでは、冒頭の旋律こそ似ているけどずいぶん書き換えられている上に、第2楽章アダージョなどはボッケリーニ他の協奏曲の2楽章から転用されている。 ようするに、まるで「コピペ」して作った全く別の曲なのだ(ただし、別の“名曲”)。

(ちょっと、フィッツェンハーゲンがチャイコフスキーの「ロココ風の主題による変奏曲」を書き換えてしまったという話を思い出すけど、 ボッケリーニとグリュッツマッハーは、約百年の時を隔てているわけだから、少し事情は違う。)

出版されている楽譜はグリュッツマッハー版が多いが、オリジナル版もある。Breitkopfからはオリジナル版とグリュッツマッハー版と両方が出版されているからややこしい。 このあたりの事情を解説している楽譜専門店アカデミアの記事があった。→エディション・ヴァージョンの違い ボッケリーニのチェロ協奏曲

今回は水色のIMC版を購入した。編者レナード・ローズがわりあい親切にフィンガリングをつけてくれている。なお、IMSLPにあるのはグリュッツマッハー版のみだった。

それにしてもこの曲、近年演奏される機会が少ないのではないだろうか?演奏会の曲目でも新しいCDでもあまり見ない気がする。その理由らしきこともいくつか思い浮かんだのだが、それはまたもう少し色々なことがわかったら。

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