2017.04.28
Fri

ドゥダメルがベネズエラの政情不安解決を訴え

指揮者で現在はロサンゼルス・フィルハーモニック管弦楽団の音楽監督のグスターボ・ドゥダメル(36)が、 このところ反政府デモで多数の死傷者が出るなど政情不安が続く母国ベネズエラの現状を憂慮し、 政権の指導者たちに「エゴやイデオロギーはさておいて、国民の声を聞き、解決に努力して欲しい」というメッセージをフェースブックに投稿していました[Slippediscなどより]。

ドゥダメルといえば、現政権が路線継承するチャベス前大統領の下の音楽教育制度「エル・システマ」に育てられたベネズエラの芸術分野でのヒーロー。そのドゥダメルがこういうメッセージを出すのはとても勇気のいることだったでしょうし、彼がそうせずにはいられないほど現在のベネズエラは危機的状況だということでしょう。

しかし動画につけられたコメントやツイッターを見ると、現政権に育てられた人物と見られているせいか、現政権に反発している人たちからも厳しい批判を浴びせられているよう。

このところ国際的に音楽家が政治的な発言をするのを多く見聞きする中、ドゥダメルのようなケースは、その立場においても情勢の深刻さにおいても、なかなか難しいだろうな…と考えさせられます。

ドゥダメル指揮シモン・ボリバル・ユースオーケストラの「マンボ」。

2017.04.26
Wed

ヨーヨー・マのバッハトリオ

ヨーヨー・マが25日、ボストンのラジオ局WUBRの番組に出演して、マンドリン奏者のクリス・シーリー、ベース奏者のエドガー・メイヤーと出した新しいアルバム"Bach Trios"の紹介と生演奏。以前、カントリー音楽のアルバムで共演した3人が、狭いスタジオの親密な空間でバッハを奏でる音色が、新鮮に感じました。

バッハ:トリオ ~チェロ、マンドリン、コントラバス
シーリー(クリス),メイヤー(エドガー) ヨーヨー・マ 曲はアルバムからWachet auf, ruft uns die Stimme(コラール「目覚めよと呼びわたる物見の声」), BWV 645。

番組全体の録音はこちら[WUBR]。右のイメージにはアマゾンへのリンクを張りました。収録曲情報はtower.jpなど。

タグ : ヨーヨー・マ 

2017.04.25
Tue

国歌メドレー

7月1日に建国150周年を迎えるカナダでは、いろいろな記念事業が行われているらしいですが、これはトロント交響楽団による世界各国国歌メドレー。

カナダ国歌「オー・カナダ」をはじめ約2分ほどの間に24ヶ国の国歌がちりばめられ、カナダが多くの国からの人々で成り立っていることを表しているそうです。日本の「君が代」は…

動画の最後のほうに出てくるMaxime Gouletさんの編曲。

トロント交響楽団はほかにもカナダ国歌を、カナダ国内でよく使われる12ヶ国の言語で歌う動画をアップしていました(さすがにそこに日本語はありませんでしたけど)。

なんだか、カナダが移民と多様性の国であることをアピールするのは、さいきんようすが変わった隣の国へのメッセージも含まれているのかな、と思いました。

2017.04.23
Sun

ヨハネス・モーザーのハイドン・チェロ協奏曲第1番

ヨハネス・モーザーが今月13日、イギリスのグラスゴーで弾いたハイドンのチェロ協奏曲第1番ハ長調が BBCのオンデマンド放送で聴けるようになっていました。

BBC SSO - Blacher, Haydn and Brahms [BBC Radio3]

クリストフ・ケーニッヒ指揮のBBCスコティッシュ交響楽団の公演のもようをBBCが17日に放送したもの。番組の公開期間は17日から1ヶ月間。 ヨハネス・モーザーのアンコールは、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番サラバンド。この日のメインはブラームスの交響曲第1番。

この一週間前もBBCでロココ変奏曲を弾いたばかりのヨハネス・モーザーですが、さすが世界で最も忙しいチェリスト第5位、というところ。

タグ : ヨハネス・モーザー 

2017.04.22
Sat

俳優とチェリストがジョイントライブ

Bach: Cellosuiten 1-6 CD, Import Jan Vogler ロスト・イン・トランスレーション [DVD]ビル・マーレイ (出演), スカーレット・ヨハンソン

映画「ゴーストバスターズ」(1984年)や「ロスト・イン・トランスレーション」(2003年)などで有名なアメリカの俳優ビル・マーレイ(66)は、ドイツ生まれのチェリスト、ヤン・フォーグラー(53)と組んで、歌と詩の朗読、それに音楽を融合させた"New Worlds"という舞台をプロデュース。今年北米をツアーし、合わせてアルバムを発売するそうです [NYTimes, NPRmusic]。

この舞台をやることになったきっかけがなかなか面白くて、4年前ベルリンからニューヨークに向かう飛行機でたまたま乗り合わせた二人が意気投合し、いつか一緒に何かやろうと言っていたのが、ビル・マーレイの誘いで本当に実現することになったのだそう。

この舞台の予告動画。ビル・マーレイがすっかり渋いおじさんになってますね…。音楽が単なるBGMではなく、名優の演技・台詞と対等に近い関係で渡り合う舞台になっていそうです。


2017.04.19
Wed

ルイス・クラレット氏がヨーロッパ人としてのルーツを語る

luis_claret.jpg

先日、アルバン・ゲルハルトが立ち上げたMusicians4Europeというグループには、来日してコンサートやマスタークラスもしたスペインのチェリスト、ルイス・クラレット氏(66)も名を連ねていてちょっと注目していたのですが、このクラレット氏がグループのフェースブックページに「ヨーロッパが連帯して他国の難民にも手を差し伸べるべき」という思いを書き込んでいました[写真は公式HPより]。

クラレット氏の書き込みは、チャップリンの映画「独裁者」(1960)の有名な演説シーンの動画をシェアするところから始まります。

[オリジナル英語字幕付き]

この感動的なスピーチは、私のヨーロッパ人としてのルーツを思い起こさせてくれます。
私の両親はスペイン内戦によりヨーロッパの中の難民でした。
両親の60年間にわたるラブストーリーは、フランコ政権の軍隊がカタルーニャに侵攻し、フランスに逃亡したときに始まります。 しかしその数か月後、ヒトラーの軍隊がフランスに侵攻します。 父はユダヤ人の友人をかくまったためにゲシュタポにとらえられますが、 パブロ・カザルスが、父は重病だから母国で死なせてやりたい、とゲシュタポを説得してくれたおかげで処刑を免れます (ゲシュタポはカザルスのことを知っていて「尊敬」はしていたのです)。
フランス解放のとき、父はカザルスが大戦で家族を失った子どもたちのための慈善コンサートを開くのを手伝いました。これはもちろんスペインの子どもたちのためだけではありませんでした。
何千人ものスペインからの難民は、他のヨーロッパの国々からの難民同様、海外、特に北米・南米で受け入れられ、新生活を始めることができました。
なぜヨーロッパの政治家たちはそのことを忘れてしまったのでしょう? そんなに昔のことではないのに!
ヨーロッパは連帯して、危機にある人たちが新生活を始められるよう手助けをする必要があります。 母国や友人や家族たちと離れ離れになることは(父は祖母やおじたちに20年以上会うことができませんでした) そうした手助けに値するほど大変な喪失なのです。
─ルイス・クラレット
[英語の原文はこちら※その後、このページはメンバーだけの非公開になったため読めなくなってしまった。拙訳にあたり、趣旨からして許して頂けるだろうと勝手に思って、氏の了解は頂いていません。]

ルイス・クラレット氏は「カザルスが名付け親」とよく紹介されますが、父親とカザルスとの間にここまでの結びつきがあったという話は初めて読んだ気がします(しかもご本人の文章で!)。

氏が1992年のバルセロナ五輪の閉会式で「鳥の歌」を演奏したときに特別な思いがあっただろうことも想像に難くありません。

穏やかで冷静に見えるクラレット氏が、重い歴史と熱い思いとを内に秘めた人であることがわかったような気がしました。

タグ : パブロ・カザルス 

2017.04.17
Mon

ライブ放送中にカップル破局を発表

イギリスの人気バイオリニスト、ニコラ・ベネデッティ(29)とドイツ生まれのチェリスト、レオナルト・エルシェンブロイヒ(32)は、音楽の上でも私生活の上でもパートナーとして知られていたところ、今月6日、フェースブック上でのライブ中継中、視聴者からの質問に答えて「もう付き合っていない」と公表したそうです。イギリスの大衆紙デイリーメール紙の記事にもなっていました。

このライブ中継の動画:

問題の質問は18分過ぎで、
「付き合っている人と演奏したりツアーしたりするのはどんなかんじ?」という質問に対して
「もう付き合っていないけど、見ての通りいい友だちだし、ツアーも続ける」との答え。
ベネデッティのほうは割合あっけらかんとしていますが、エルシェンブロイヒのほうは少し表情が固いようにも見えます...

エルシェンブロイヒは一緒に暮らしていたロンドンを離れ、すでにベルリンに移り住んでいるそう。

音楽家のカップルがくっついたり離れたりといったことは、普通はファンの間でひそひそと静かに広がるものですが、こうしてオープンに世界が同時に知ってしまうのが、今の時代らしい、というところでしょうか。

タグ : チェロ事件簿 

2017.04.14
Fri

ららら♪クラシックでチェロ特集

この4月から司会者が新しくなったNHK「ららら♪クラシック」(Eテレ金曜9:30~)で5月5日、チェロが特集されるそうです。

ららら♪クラシック「楽器特集・チェロ~イケメンですけど何か?!~」[NHK 5月5日金曜午後9時30分~ 午後10時00分]
新MC・高橋克典が憧れのイケメン楽器・チェロに挑戦!(1)チェロってこんなにかっこいい!(2)チェロ超初級レッスン(3)チェロ奏者は集まりたがり!?
新MC・高橋克典が昔から恋い焦がれていたという弦楽器・チェロを特集する。ソロはもちろん、オーケストラの中でも大活躍。さらにクラシックだけでなく、どんなジャンルの曲も弾きこなす、イケメン楽器・チェロ。そんなチェロの演奏に高橋克典が初挑戦!憧れの楽器を前に悪戦苦闘。また、トップ・チェロ奏者4人が集結!チェロ愛が深すぎるその素顔に迫ります。...

出演するチェリストは長谷川陽子さん、山本裕康さん、辻本玲さん、それに森田啓祐さんと豪華な顔ぶれ。 長谷川陽子さんのバッハのプレリュードの他、4人のチェリストによるクレンゲル「即興曲」の演奏もあるようです。

この番組で楽器が特集されるのは、去年11月、このブログが少しだけ画面に映ったビオラ特集以来だと思います。チェロが「イケメン楽器」だなんて言われると、自分が褒められたわけでもないのに、ちょっとくすぐったいですが、どんな内容になるか楽しみです。

2017.04.13
Thu

上山音楽祭2017

今年も山形県上山(かみのやま)市で開催された上山音楽祭の動画がアップされていました。この音楽祭はチェリストで東京藝大准教授の中木健二さんが音楽監督をつとめ、奥さんでピアニストの永田美穂さんの地元の上山市で、音楽家を目指す若手たちがレッスンやまちなかコンサートを繰り広げるもの。中木さんのレッスンが熱い!…

昨年も同じようなことを書きましたが、こうした音楽祭が地方都市で開催されるのは、その街の子どもたちが全国から集まった若手音楽家たちをどんなに輝いた目で見るか、またそうした目で見られながら音楽に打ち込むことで若手たちがどれだけ成長するか…といろいろな面で大変意義深いことだと思います。

2017.04.13
Thu

アルバン・ゲルハルトが親欧州グループを結成

Alban_Gerhardt_4.jpg

先月末「親欧州」の市民デモで演壇に立ちバッハを弾いたアルバン・ゲルハルト(47)ですが、ドイツの高級紙Die Zeitが6日、アルバン・ゲルハルトの名前を挙げて音楽家が政治的発言をすることに"wohlfeil"(cheap,安っぽい)という言葉を使って批判的な記事を書いていました。

これに対してアルバン・ゲルハルトはすぐさまドイツの音楽情報サイトで反論…このへんのやりとりは、北ドイツ放送の記事にもまとめられているものの、ドイツ語なので細かいところまで読み取れませんでしたが、アルバン・ゲルハルトが現在のヨーロッパの状況に強い危機意識を持っているらしいことはわかりました。

さらにアルバン・ゲルハルトは、ヨーロッパの音楽家たちに呼びかけて"Musicians4Europe"というグループ[Facebook※その後このグループはメンバー以外非公開になり、新しく公開ページが作られた]を立ち上げ。そのマニフェストでは自国第一・排外主義に反対し、表現の自由と民主主義を守ることを唱い、ヨーロッパの音楽家100人近くが署名することになっているようです。 チェリストではスティーブン・イッサーリス、ジャン=ギアン・ケラス、ヨハネス・モーザー、ジョヴァンニ・ソッリマ、ゴーティエ・カプソンなど…。

現在のヨーロッパの危機感は、日本にいる者からはわからないものかも知れませんが、近くに迫るフランス大統領選挙やドイツの総選挙といった動きに彼らが巻き込まれないか、ちょっと懸念します。

タグ : アルバン・ゲルハルト 

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