2017.06.24
Sat

若い音楽家のためのチャイコフスキーコンクール

カザフスタンで開催されていた「若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」チェロ部門で22日、中学1年の北村陽さん(13)が1位になったそう![朝日新聞神戸新聞 17.06.23 写真も]。

北村陽さんが最終審査で弾いたチャイコフスキーの「ロココ風の主題による変奏曲」の演奏が聴けないかと思って公式サイト経由で探したら、YouTubeのこのライブ動画の1時間45分過ぎのところから約20分間映っていました。本家チャイコフスキーコンクールのように高画質のストリーミング放送とはいきませんが…

北村陽さんは小学生のときから有名で、日本チェロ協会の「チェロの日」でも演奏を聴かせてもらったり、チェロアンサンブルで一緒に弾かせてもらったことがあります。実は、二人で並んで一緒に撮ってもらった写真もあります。

その陽くんが中学生になって、海外でオーケストラをバックに堂々とロココ変奏曲(いま自分が弾いている曲でもある)を弾く姿を見るのは感慨深いです。もちろんこれから演奏を聴かせてもらえる機会ならたくさんあるだろうと楽しみにしています。

動画の2時間05分くらい、快速のフィナーレを弾き終えると、高々と弓を挙げる姿が陽くんらしいなと思いました。大きな拍手と掛け声が聴衆の反応を物語っていると思います。

2017.06.21
Wed

ヨーヨー・マが国連TOGETHERキャンペーンにメッセージ

国連ピースメッセンジャーでもあるヨーヨー・マ(61)が、難民問題に取り組む国連のTOGETHERキャンペーンに寄せて「鳥の歌」の演奏とメッセージ。

これはカタロニア民謡「鳥の歌」の冒頭の部分です。 この歌はスペインのカタロニアの人々ならみんなが知っている歌で、自由を象徴する歌です。 私の偉大なヒーローの一人でチェリスト、パブロ・カザルスが1971年に国連で演奏しました。

私にとって、鳥が飛ぶことは自由を象徴しています。
鳥はすべての国境を飛び越えて行くことができます。
鳥の眼でものを見ることで広い視野を持つことができ、移動ができる生態で季節の変化に対応することができます。
季節が変化するのは、われわれ人間にとっても同じことです。
(演奏)
自由について考え方はたくさんあります。
移動の自由、考えることの自由、安全でいる自由、自己を表現すること、思い出すこと、探求することの自由…
私は移民です。実際のところ、われわれは皆どこかから来た“移民”なのです。

人間の特別なところは、思い出すことです。思い出し、それを人に伝えられることです。
「己の欲する所を人に施せ」という黄金律にしたがって、2つのことをしてみましょう。

われわれが移民だったときのことを思い出して、どう接してほしいか考えてみましょう。
そして、鳥のようにものを見て、歌う自由を思い出してみましょう。
それは、パブロ・カザルスが国連で40年以上も前に言ったことです。ピース(Peace)、ピース、ピース…
[拙訳]

参考: TOGETHERキャンペーン [国連広報センター]

タグ : ヨーヨー・マ  パブロ・カザルス 

2017.06.21
Wed

カザルスのチェロを受け継いだチェリストが絵本に

パブロ・カザルス(1876-1973)が使ったチェロを受け継いで弾いているということで前に話題にしたことがあるアメリカのチェリスト、アミット・ペルド(1973-)の話を絵本として出版する話があるのだそうで、 現在、出版に必要な2万ドルを目標に資金を集めるクラウドファンディングを募っているそうです。

"A Cello Named Pablo"(パブロという名のチェロ)と題するこの絵本は、イスラエルで生まれ育ったアミット・ペルドがチェロを学び、 ついには全てのチェリストが尊敬するパブロ・カザルスのチェロを受け継ぐ、夢のような日を迎える…というアミット・ペルド自身の半生とカザルスの偉大さを伝えるものになるようです。

このクラウドファンディング、1口25ドルからで、1万ドルを寄付した人にはアミット・ペルドが世界中どこにでも"パブロ"──つまりカザルスが弾いたゴフリラーのチェロそのもの──を持ってプライベートコンサートに来てくれるのだそうです。 そう聞くと心を動かされるかたもいるのではないかな?…とちょっと思いました。

タグ : パブロ・カザルス 

2017.06.19
Mon

父子デュオ

きのう18日は父の日だったらしいですが、ミッシャ・マイスキー(69)は、8歳になったばかりの息子さんのピアノの発表会で共演。グノーの「アヴェ・マリア」。マイスキーの公式Facebookから。

マイスキーはすでに最初の奥さんとの間の娘リリー(ピアノ)と息子サーシャ(バイオリン)とのトリオで演奏したりもしていますが、こちらは2回目の結婚相手、イタリア人の奥さんとの間にできた息子さんですね。また家族に共演者を増やすのでしょうか。

タグ : ミッシャ・マイスキー 

2017.06.17
Sat

エリザベート王妃コンクール受賞者コンサート

今月3日、日本の岡本侑也さん(22)が見事2位に入賞したエリザベート王妃国際音楽コンクール・チェロ部門の受賞者コンサートの映像が見られるようになっていました。15日にブリュッセルで開かれた受賞者コンサートを地元のテレビ局Canvasが収録したもの。

岡本侑也さんは、チャイコフスキー「ロココ風の主題による変奏曲」(原典版)、
Yuya Okamoto op het slotconcert [canvas.be]

1位のヴィクトル・ジュリアン・ラフェリエール(26,フランス)は、コンクール決勝でも弾いたショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番[映像]、3位のサンティアゴ・カノン・バレンシア(22,コロンビア)は、エルガーのチェロ協奏曲[映像]。オーケストラは、Muhai Tang指揮のアントワープ交響楽団。 slotconcert.jpg

それにアンコールで、この1位から3位の3人によるチェロ三重奏が美しい!
Toegift slotconcert [canvas.be. 下はFacebookより抜粋映像]

[全曲]

曲はフェルナンド・ド・ラ・トンベル(Fernand de La Tombelle,1854-1928,フランス)という作曲家の「3つのチェロのための組曲」[IMSLP]からAndantinoという曲だそう。

このエリザベート王妃コンクールの受賞者たちは大会後も忙しく、1位から3位入賞者は14日から18日まで5夜連続で受賞者コンサートを開くことになっているようです。しかも岡本さんのチャイコフスキー「ロココ風の主題による変奏曲」はコンクール中には弾いていなかった曲…

スポーツ選手なら、大きな大会が終わったらすぐに帰国して、空港で記者会見などあるにしても、少し休養して…というところだと思いますが、このコンクールは入賞するとベルギー国内でしばらくひっぱりだこで大変ですね。

2017.06.15
Thu

ヨハネス・モーザーのエルガー・チェロ協奏曲

ドイツ生まれのチェリスト、ヨハネス・モーザー(38)が今月2日、ポーランドのワルシャワで弾いたエルガーのチェロ協奏曲全曲の動画がYouTubeで見られるようになっていました。オーケストラは、ヤツェク・カスプシク指揮のワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団。この日6月2日は、エドワード・エルガー(1857-1934)の160回目の誕生日だったのだそう!

最後の5分ほどはアンコールのバッハの組曲1番サラバンド。

そういえば、先日エリザベート王妃コンクールが終わったばかりですが、ヨハネス・モーザーもチャイコフスキーコンクールで1位なしの2位になった人で(2002年)、そのとき「これでチェリストとしてのキャリアが開ける」と思ったら何も変わらず、その後いろいろな指揮者に会ってもらって売り込んだら、ようやくオーケストラとの共演が増えた、という話をインタビューでしていたのを思い出しました。

タグ : ヨハネス・モーザー 

2017.06.12
Mon

親欧州音楽家のコンサートレポート

チェリストのアルバン・ゲルハルトが中心になって先月ベルリンで開かれた、自由なヨーロッパを守ろうという音楽家たちのコンサートのようすが、ベルリンフィルの人気ホルン奏者サラ・ウィリスのテレビ番組 Sarah's Music でレポートされていました[ドイチェ・ベレ、英語]。

アルバン・ゲルハルトのインタビューをはさみながら、彼が1番チェロ、アリス=紗良・オットのピアノでポッパー「レクイエム」Op.66の演奏が5分30秒くらいから。

樫本大進さんらも出演したこのコンサートは、まだFacebookでライブ動画が見られます。プログラム詳細はこちら

タグ : アルバン・ゲルハルト 

2017.06.07
Wed

2CELLOSの生放送中のハプニング

世界ツアー中のクロアチアのチェロ二人組 2Cellosは6日朝、ドイツZDFの朝の情報番組 Morgenmagazin に出演して生演奏したところ…

番組ツイッター「チェロが突然ストライキを起こしてしまった」。駒が飛んだんですね。

そこでステパン・ハウザーが即興でバッハ無伴奏1番プレリュードを演奏…

スコア
2CELLOS 激しい演奏でどちらかのチェロを調整する必要が出たとき、もう片方がバッハを弾いて間をもたせる…というシーンは来日公演のときにもあった気がします。 常に世界をツアーしている彼らのこと、さすがにハプニングにも慣れたものですね。2cellos_score.jpg

タグ : 2CELLOS  チェロ事件簿 

2017.06.05
Mon

エリザベート王妃コンクールのハイライト動画

昨日結果が発表されたエリザベート王妃国際音楽コンクール・チェロ部門ファイナルのハイライト動画。ライブ中継番組の公式Facebookより。

3位になったコロンビアのサンティアゴ・カノン・バレンシアは、譜めくりをしようとしたら、弓が指揮者の左手に当たって落下

5位になったロシアのイヴァン・カリズナは、課題曲の細川俊夫作曲"Sublimation"のピチカートを独自に工夫してプラスチックのカードで… これは作曲者の意図を汲んで、琵琶か三味線の太棹のイメージを膨らませてこのようなことをしたのではないかと思われ、なるほどと思いました。 このようなカードなら身のまわりにたくさんありますし…

そして、残念ながら入賞できませんでしたが、聴衆の心をつかんだChristine Leeさんの弦を切るハプニング

やはり、課題曲は1週間前に初めて楽譜を渡されて弾くわけですから、いろいろ起こりますね。

1位にVictor Julien-Laferrièreを予想していた人は少なく、驚きをもって受け止められていたように思います。それというのも、他のチェリストも皆、日本の岡本侑也さんも含めて、だれが1位でもおかしくないくらい素晴らしすぎたからだと思います。コンクールのことを伝えるニュースの枕詞によく「登竜門」という言葉が使われますが、その「登竜門」はあまりにも高いところにある…というのがこのコンクールを見た実感です。

2017.06.04
Sun

エリザベート王妃コンクール・チェロ部門、岡本侑也さんが2位!

ベルギー・ブリュッセルで行われていたエリザベート王妃国際音楽コンクール・チェロ部門のファイナルの結果がけさ発表されていました[公式サイト]。

First Prize : Victor Julien-Laferrière
Second Prize : Yuya Okamoto
Third Prize : Santiago Cañón-Valencia
Fourth Prize : Aurélien Pascal
Fifth Prize : Ivan Karizna
Sixth Prize : Brannon Cho

日本からただ一人ファイナルに残っていた岡本侑也さん(22)が2位!

すでに日本でもニュースになっていました。岡本さんとこのコンクールについて詳しく書かれていたのは朝日

世界3大コンクールの一つで、国際的演奏家の登竜門とされるエリザベート王妃国際音楽コンクール・チェロ部門の選考結果が4日未明、ベルギー・ブリュッセルで発表され、ドイツ在住の日本人、岡本侑也さん(22)が2位になった。岡本さんは「権威あるコンクールで評価されてうれしい。これからもっと自分の演奏を極めていきたい」と話した。

岡本さんは東京都出身。音楽家の両親のもとにうまれ、生後すぐにドイツに渡り、6歳からチェロを始めた。ドイツで約10年過ごした後、日本に帰国。東京芸術大学付属の音楽高校を経て東京芸術大学に入学したものの1年生の秋に休学し、再びドイツへ。ミュンヘン音楽大学に留学し、今もミュンヘンで学びながら活動している。(中略)

...エリザベートコンクールでの日本人の入賞は、2012年に作曲部門で優勝した酒井健治さん、バイオリン部門で2位になった成田達輝さん以来。[全文 朝日 17.06.04 9:00]

[追記] NHKの映像つきのニュースにも[NHK 17.06.04 11:04]

[さらに追記] 上記朝日の記事には後で、岡本さんを小6から高3まで教えた山崎伸子先生のコメントが追加。「彼は本番に強くて、いつも本番が一番いい演奏なんです」「聡明な完璧主義者」「見せかけの奇をてらった演奏をしない、楽譜に忠実なタイプ。大きなコンクールで評価されうれしい。日本のチェロ界を背負っていってほしい」。

***

結果発表の瞬間の映像はこちら[RTBF 右画像はそこから]。

岡本侑也さんはファイナルでドボルザークのチェロ協奏曲などを演奏[映像:公式サイト]。難曲を笑顔で弾ききる魔法のようなテクニックやその容貌から、地元の新聞に「チェロのハリー・ポッター」と評されたりしていました。

岡本さんのファイナルでの演奏のようす。公式Facebookから。おそらくドボルザークのチェロ協奏曲の最終3楽章、バイオリンのソロとの二重奏になるところですね。

1位になったヴィクトル・ジュリアン・ラフェリエール(Victor Julien-Laferrière)はフランス・パリ生まれの26歳。ファイナル最終日の昨夜、ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲1番を弾いていました[映像]。フランスが1位をはじめファイナリスト12人中4人を占めていたのは、開催国ベルギーとの「近さ」もあるかも知れませんが、レベルの高さを見せつけた感じ。

今大会のファイナルに残った12人のうち6人が選んだのがショスタコーヴィチのチェロ協奏曲1番ということで、これまでコンクールといえばドボコン(ドボルザークのチェロ協奏曲)だった時代から、この曲がトップチェリストの「標準レパートリー」になったことを象徴する大会だったかも知れません。

エリザベート王妃国際音楽コンクールでチェロ部門が開催されるのは初めてのことらしいですが、公式サイトや地元放送局からのライブ中継、Facebook/ツイッターなどSNSの情報の充実、1ヶ月にわたる大会運営や豪華な審査員の顔触れなど、さすがだと思いました(もし望めるのならフランス語に英語を併用してくれたら、と思いましたが)。

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