2017.04.13
Thu

アルバン・ゲルハルトが親欧州グループを結成

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先月末「親欧州」の市民デモで演壇に立ちバッハを弾いたアルバン・ゲルハルト(47)ですが、ドイツの高級紙Die Zeitが6日、アルバン・ゲルハルトの名前を挙げて音楽家が政治的発言をすることに"wohlfeil"(cheap,安っぽい)という言葉を使って批判的な記事を書いていました。

これに対してアルバン・ゲルハルトはすぐさまドイツの音楽情報サイトで反論…このへんのやりとりは、北ドイツ放送の記事にもまとめられているものの、ドイツ語なので細かいところまで読み取れませんでしたが、アルバン・ゲルハルトが現在のヨーロッパの状況に強い危機意識を持っているらしいことはわかりました。

さらにアルバン・ゲルハルトは、ヨーロッパの音楽家たちに呼びかけて"Musicians4Europe"というグループ[Facebook※その後このグループはメンバー以外非公開になり、新しく公開ページが作られた]を立ち上げ。そのマニフェストでは自国第一・排外主義に反対し、表現の自由と民主主義を守ることを唱い、ヨーロッパの音楽家100人近くが署名することになっているようです。 チェリストではスティーブン・イッサーリス、ジャン=ギアン・ケラス、ヨハネス・モーザー、ジョヴァンニ・ソッリマ、ゴーティエ・カプソンなど…。

現在のヨーロッパの危機感は、日本にいる者からはわからないものかも知れませんが、近くに迫るフランス大統領選挙やドイツの総選挙といった動きに彼らが巻き込まれないか、ちょっと懸念します。

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2017.03.28
Tue

親欧州デモでバッハ

ドイツのチェリスト、アルバン・ゲルハルト(47)が26日日曜日ベルリンで、EUを中心にヨーロッパが連帯しようという親欧州派(Pro-European)の運動「欧州の鼓動(Pulse of Europe)」の集会に登壇し、 広場に集まった約7,000人を前にバッハのチェロ組曲6番プレリュードを演奏したそうです。

このデモのことは、きょう28日付の朝日新聞でも記事になっていました。
「親欧州」広がるデモ 独の集会きっかけ、11カ国4万人に [朝日 17.03.28]

 「親欧州」を掲げるドイツ発の市民デモが欧州各地に広がっている。今年1月にわずか200人で始まった集会には26日、11カ国で約4万人が参加し、「市民の手で欧州連合(EU)を守ろう」と訴えた。
 ベルリン中心部ではこの日、約6500人が集まった。1カ月前からほぼ5倍に膨らんでいた。希望者が次々に壇上に立ち、欧州への思いを語っていく。
(中略) きっかけは、英国のEU離脱に続く、米トランプ大統領の誕生だった。4~5月のフランス大統領選、9月のドイツ総選挙への影響が心配だった。いずれも自国第一を掲げる右派政党が台頭している。…

アルバン・ゲルハルトのフェースブックには、彼が演壇で行ったスピーチについても書いてあり、「世界で最も力のある国の大統領に邪悪な道化師が就き、悪夢が現実のものになりつつある世の中を、自由でオープンなヨーロッパで育つ息子たちに見せたくない」などと語ったそうです。

彼のほか、チェリストではジャン=ギアン・ケラスやヨハネス・モーザーらもよくアメリカのトランプ大統領を批判する発言をSNSでしているのを見かけます。

個人的には音楽家が政治に関わる発言をすることにはあやういものを感じ、ヨーヨー・マのように距離を置く姿勢の方がいいのではないかと思っているのですが、とりあえずこれは、春の日差しを浴びながら野外で7,000人がバッハに聴き入るというのがなかなかいいな、と思ったので。

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2017.01.04
Wed

ロンドンのチェロコンサートシリーズ

ロンドンのKings Placeというコンサートホールでは、今年2017年を「チェロの年」として、年間を通して49ものチェロのコンサートやイベントを開く Cello Unwrapped というシリーズを開催するそうです。

出演するチェリストは、7日のアルバン・ゲルハルト(ロココ変奏曲、コダーイ無伴奏など)を皮切りに、ピーター・ウィスペルウェイ、ジャン=ギアン・ケラス、アントニオ・メネセス、ナタリー・クラインらの他、現代的オリジナル曲を演奏するチェリストのゾーイ・キーティング、マヤ・バイザーなど。 チェロアンサンブルのコンサートやアマチュア向けのワークショップなんかもありました[一覧]。

Kings Placeというのは席数400ほどの室内楽ホールらしいので、独自の企画なども考え合わせると、東京で言えばトッパンホールというかんじでしょうか?… そのためドボコンやエルガーといった大がかりな協奏曲のプログラムはありませんが、いろいろな趣向でチェロの魅力が楽しめそうな企画だと思いました。 ラフマニノフ:チェロ・ソナタ
クライン(ナタリー)

このシリーズを紹介するニュース記事でイギリスのチェリスト、ナタリー・クラインは 「『チェロの音は人の声に近い』というのは決まり文句だけど本当のこと」。また「チェリストに自己中心的な人はめったにいない。みんな社交的」。その理由として「音楽のベースラインを受け持つ」ことと、大きな楽器を持ち運ぶので「トラウマを共有している」ことの2つを挙げていました。

[追記] 7日のコンサートでアルバン・ゲルハルトは、ロココ変奏曲の演奏中にC線を切りながら、すぐにオーケストラのチェロ奏者の楽器を借りて最後まで弾ききったのだそう。アンコールにフィッツェンハーゲンの Resignation(Op.8)。9:45からの夜の部のコダーイ無伴奏のアンコールはロストロポーヴィチのModerato [Planet Hugill]。

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2016.09.22
Thu

アルバン・ゲルハルトのインタビュー

ドイツのチェリスト、アルバン・ゲルハルトへのロンドン・チェロ協会の今年8月のインタビュー。ずいぶん熱っぽく語っていますが、これはロンドン・チェロ協会のCello Clubという10代の若いチェリストたちに向けていることも意識しているからだろうと思います。

初めてチェロ・アンサンブルをしたのは?─10代の頃、クレンゲル「讃歌」(Hymnus)を弾いたとき。10代の頃の最もすばらしい音楽的経験のひとつ。音がこう、ブーンと…

チェロ・アンサンブルのすばらしさとは?─チェロ・アンサンブルは不安定(versatile)だけど、うまくいくと弦楽四重奏よりずっと強力だし音域の幅が広い。バランスを取って、よく考えて、周りの音をよく聴くようにすれば、すばらしい音楽になる。

技術的に上達するための一番の秘訣は?─基本が一番大事。ボウイングも左手も基本練習に時間をかけてゆっくりのテンポで練習すること…

音楽的に上達するための一番の秘訣は?─演奏家の録音を聴くのをやめて、自分でスコアを読むこと…

どのようにして自分のアイデアを演奏に入れたら?─バッハなどベートーベン以前の音楽にはアイデアを入れる余地があるが、 ロマン派以降の音楽はすべては楽譜に書いてある。ほら、ドボコン冒頭の4つめの音に変なクレッシェンドをつけるチェリストがいるけど、そんなことは書いてないんだ!…などなど。

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2016.08.09
Tue

アルバン・ゲルハルトのドボコン

ドイツのチェリスト、アルバン・ゲルハルト(47)が3日、BBCプロムスでドボルザークのチェロ協奏曲を弾いたコンサートがオンデマンドで聴けるようになっていました。

Prom 25: Dvorak's Cello Concerto and Bartok's Duke Bluebeard's Castle [BBC Radio 3]

ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで3日に開催されたコンサートのライブ放送で、公開期間は1ヶ月間。 ドボコンの後、万雷の拍手に応えてアンコールにバッハの無伴奏6番プレリュード。後半はバルトーク「青ひげ公の城」。 演奏はシャルル・デュトワ指揮のロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団。

このコンサートの前後、アルバン・ゲルハルトがツイッターで、ピアニストでよくヨーヨー・マとコンビを組むキャスリン・ストットと「あらゆる楽器の協奏曲の中で最高の曲」、 チェリストのスティーブン・イッサーリスと「(ドボルザークの夫人の姉で、ドボルザークが慕っていたという)ジョセフィーヌの死と彼女のための3楽章コーダがなかったら全く別の曲だったろう」…などとやりとりしているのが読めて面白かったです。また、アルバン・ゲルハルトはいつもと同じようにロイヤル・アルバート・ホールでも耳栓をして演奏したそうです。

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2016.06.08
Wed

地下の廃墟でバッハ

ドイツのチェリスト、アルバン・ゲルハルト(1969-)がアメリカ・ワシントンD.C.の地下でバッハの無伴奏チェロ組曲6番プレリュードの演奏。

先月、アルバン・ゲルハルトがケネディ・センターでワシントン・ナショナル交響楽団とエルガーのチェロ協奏曲を弾くためにワシントンを訪れたときの収録。

ここは、デュポン・サークルというスポットの地下にある、かつて路面電車の地下駅があったものの約50年前から使われなくなった「廃墟」で、近年では現代アートの展示や地域のイベントなどで活用しようという活動があるのだそう。

「ブラタモリ」のワシントン版があったら真っ先に取り上げられそうなスポットですね。

そういえば、このアルバン・ゲルハルトは以前、耳栓をしてチェロを弾くということで注目したことがありますが[過去記事]、 最近も耳栓をしているのかな?と思ったら、ドイツのクラシック音楽情報サイトConcertiの去年のインタビューでも、自分の出している音の「裸」の音を聞き、ホールの響きによって陶酔してしまわないために耳栓をする、と語っていました。

このような地下でチェロを弾いたらさぞかし音が深くよく響いて、それこそ「陶酔」してしまいそうな気がしますが、 この映像では耳栓をしているのかどうか?…何度か見返していますが、まだ確認できてません。

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2015.11.02
Mon

アルバン・ゲルハルトがオーケストラのチェロセクションに

アルバン・ゲルハルトが30日金曜日、アメリカのニューオリンズでルイジアナ・フィルハーモニー管弦楽団とドボルザークのチェロ協奏曲を弾いたらしいのですが、その前にコンサートの前半の曲目、シベリウス「レンミンカイネン組曲」のときにもステージに現れ、オーケストラのチェロセクションに加わって演奏したのだそうです[Slippedisc経由, 本人のツイッターにも]。

このようなことをたびたびすることではヨーヨー・マが有名で、今年5月にもドボルザークのチェロ協奏曲の前にバンクーバー交響楽団に加わって演奏していましたが、ドボルザークのチェロ協奏曲を弾くだけでも大変なエネルギーが必要なはずなのに、その上にオーケストラと一緒に演奏してしまう余裕には驚かされます。

上のSlippediscの記事には、バイオリンのフリッツ・クライスラーも昔、本番で突然オーケストラに入ってきて隣で弾くことになったアマチュア奏者が椅子から落ちそうになるほど驚いた、という話も出てきます。

***

最近のアルバン・ゲルハルトの演奏。曲は、ロストロポーヴィチが若い頃に作曲したエチュードでModeratoという曲だそう。

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2015.06.06
Sat

アルバン・ゲルハルトのロココ変奏曲

Alban_Gerhardt_4.jpg

また海外ラジオ局のオンデマンド放送ものですが、ドイツのアルバン・ゲルハルトが先月演奏したチャイコフスキー「ロココ風の主題による変奏曲」の演奏が、ドイツの公共ラジオ局WDRのオンデマンド放送で聴けます。

WDR 3 STADTEKONZERTE NRW - 02.06.2015 [WDR3]

6月2日の放送で、公開期間は放送後30日間。 オーケストラはMihkel Kütson指揮のニーダーライン交響楽団。後半はスメタナ「わが祖国」抜粋。5月19日ドイツ・クレーフェルトでの演奏。アルバン・ゲルハルトのFacebookで知りました。

このコンサートで面白いのは、ロココ変奏曲ともう1曲、アルバン・ゲルハルトが演奏したフィッツェンハーゲンのチェロ協奏曲第2番イ短調Op.4というもの。フィッツェンハーゲン(Wilhelm Fitzenhagen, 1848-1890)は、ロココ変奏曲に手を入れたことやチェロ4本のための「アヴェ・マリア」などでチェロ弾きの間では有名だと思いますが、彼のチェロ協奏曲を聴いたことがある人は少ないのではないかと思います(3曲か4曲あるそうです)。埋もれた曲に光を当てようという意図だったよう。 上記番組では初めの20分くらいがロココ変奏曲、そのあと20分くらいがフィッツェンハーゲンのチェロ協奏曲。

聴いてみると、なかなかロマンチックな旋律のあるいい曲だと思いましたし、またさすがに高い技巧を要する曲だと思いました。

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2015.04.13
Mon

アルバン・ゲルハルトのインタビュー

先週イギリスのガーディアン紙に載ったドイツのチェリスト、アルバン・ゲルハルト(45)のインタビュー。ドボコン1楽章の後なら拍手があったっていい、という話に共感したのと、音楽家へのインタビューとして質問項目が面白いと思ったので。以下抄訳。

─音楽はどのように聴きますか?
年を経るにつれて生演奏を聴くのが好きになり、最近はコンサートに出かけるようにしている。

─最近買ったCDは?
次のCDに入れる曲の候補を検討するため、ロストロポーヴィチの弾いたラフマニノフ「東洋風舞曲」。

─音楽に関してちょっと恥ずかしい趣味はありますか?
弾かないこと。2週間休みを取って練習もせず、オペラを観に行くこと。

─もし半年間与えられて新しい楽器を習えるとしたら何を選びますか?
指揮を習いたい。半年間小さなオペラハウスに弟子入りして技を盗みたい。

楽章間の拍手は許されますか?
もちろん。ドボルザークのチェロ協奏曲の1楽章のような壮大な楽章の後だったら、許されるどころか大歓迎だね。 でも、静かな終わり方のときに早すぎる拍手は、たとえ曲が完全に終わっていても困るね。

─クラシックの演奏会のスタイルを1つだけ改善するとしたら何ですか?
いろんなスタイルがあってもいいと思う。 夕方1時間だけのコンサートとか、演奏家のトークが入るとか、 ビデオや照明効果を加えるとか、リラックスできる席にするとか。 作品の全楽章でなく1つの楽章だけ演奏するというのも、19世紀にはされていたことで、あってもいいと思う。

─聴衆として最も記憶に残る経験は?
子どもの頃、偉大なピアニストのコンサートをたくさん聴くことができた。 その中でも最も記憶に残るのはホロヴィッツのベルリン・コンサート(1986)だね。 彼は僕のヒーローで、彼のLPは全部持ってるし、リストのLPにはサインももらった。

─最初に買ったレコードは?
カザルスが弾いたシューベルトの弦楽五重奏。

─ミュージカルは好きですか?
古いものが好き。「サウンド・オブ・ミュージック」「オズの魔法使い」一番好きなのは「ウェストサイド物語」。 新しいのはよく知らないけど、大衆受けのために音楽が単純化されているのを聴くと悲しくなるね。

─昔の指揮者で共演してみたい人は?
カルロス・クライバー。

─クラシック音楽以外で共演してみたい人は?
ビリー・ホリデイかエラ・フィッツジェラルド。

─ここロンドンで音楽祭の監督を全面的に任されたらどんなプログラムにしますか?
音楽と芸術、文学、料理やワイン、すべての楽しみを組み合わせたいね。

─お風呂の中で歌う曲は何ですか?
リゴレットのアリア。
[全文: Facing the Music: Alban Gerhardt - guardian.co.uk 15.04.06]

ガーディアン紙のこのコーナー、毎週同じ質問をいろいろなクラシック音楽家にぶつけて、その人となりや音楽への姿勢を浮き彫りにしようとする企画のよう。これまで出てきた音楽家は、バイオリンのタスミン・リトル、カウンターテナーのフィリップ・ジャルスキー、チェコ・フィル指揮者のビエロフラーベクなど。

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2014.11.26
Wed

アルバン・ゲルハルト@ウィグモア・ホール

アルバン・ゲルハルトが、今年6月、ロンドンのウィグモア・ホールで弾いたランチタイム・コンサート[過去記事]の動画を1時間丸ごとYouTubeで見られるようにしてくれていました。

曲は、バッハ無伴奏チェロ組曲第4番、24分過ぎからコダーイの無伴奏チェロソナタ、55分過ぎからアンコールでバッハの1番プレリュード。

[アルバン・ゲルハルト自身のツイートより]

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