善福寺手帳

ぜんぷくじてちょう

トレンチ・チェロの音色

[ 2014/09/20 Sat] チェロと音楽

先日書いた、第一次世界大戦のとき、イギリス軍兵士が戦場の塹壕(trench)の中で弾いたというトレンチ・チェロの、ステイーブン・イッサーリスによる生演奏がBBCラジオで聴けます。

BBC Radio3: In Tune[Friday 19 September 2014]

昨日19日の夕方(日本時間深夜)に生放送されたもので、1週間の限定公開。番組の冒頭 7分過ぎからイッサーリスが登場して約10分間がトレンチ・チェロの話題と演奏。トークをはさみながら、初め短い曲を2曲(イギリスの古い歌か何かでしょうか?※追記参照)の後、バッハの無伴奏組曲5番のサラバンド。

響きはさすがに本物のチェロほどではない気がしましたが、儚げな響きが、イッサーリスが弾き、その歴史にも思いを馳せると、何とも言えぬ味わいになるような気がしました。

トレンチ・チェロを弾いている姿はこんなかんじ。弾薬が入っていた箱を利用していて、ネックや弓を箱に入れて持ち運べるようになっているのが特徴。

[英国王立音楽アカデミーのツイートより]

しまうときは、こんな感じ。

19日のスタジオの様子。

[追記1] 上記番組のトレンチ・チェロの話題部分だけを取り出したsoundcloudpodcast。後でゆっくり聞きたい方はこっちのほうがいいかも。

[追記2] イッサーリスがトレンチ・チェロ弾いた曲。
初めの短い2曲はいずれも第1次大戦中のイギリスの歌。
- "Keep the home fires burning" Ivor Novello作曲(1914)
- "Jerusalem (And did those feet in ancient time)" Hubert Parry作曲(1916) プロムス最終夜に歌われる歌だそう。
- バッハ無伴奏チェロ組曲第5番サラバンド

タグ : スティーブン・イッサーリス 

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スコットランド独立投票前夜

[ 2014/09/18 Thu] 雑記

スコットランドの独立を問う住民投票を18日に控えて、このひとはスコットランドの高台に登って、チェロの演奏で「スコットランドよ英国に残れ」と。

曲は、スコットランドの国歌の候補の1つにもなっているらしい Highland Cathedral という美しい曲。

スコットランドが独立した場合の国歌には、「スコットランドの花」(Flower of Scotland; サッカーやラグビーの試合の前はこれ。イングランドと戦った歴史を想起させる歌詞がある)や「勇敢なるスコットランド」(Scotland the Brave; バグパイプの演奏でよく聴く)といった曲が有力候補だそうですが、ここでこの曲が選ばれたのは、スコットランドの美しさを称えながら最も平和的な曲だからじゃないかという気がします。

国を二分する論争の主張も、こういうやりかたならいいですね。

[19日追記]
スコットランド独立に関連しては、スコットランド出身のテニスのアンディ・マレー選手が投票直前にツイッターではじめて独立賛成の意思を表明。これが独立賛成派を後押ししたと見られる一方、ネットで反対派からの非難も受けているよう。マレーは来年のデビスカップは引き続きイギリス代表としてプレーする意向とのこと[BBC,AFP時事]。複雑な立場がうかがえますね…

[さらに追記]
すでに伝えられている通り、投票の結果、独立反対が賛成を上回り、スコットランドはイギリスにとどまることになった。

現代版「セロ弾きのゴーシュ」的CM

[ 2014/09/17 Wed] 雑記

キャノンの新しいカメラのCM動画。チェロが出てきて、曲はCMによく使われるバッハのプレリュード…

本格派向けのカメラらしく、この動画もなかなか芸術的じゃないか…と思って見ていたら、これ、現代版の「セロ弾きのゴーシュ」ですね!

セロ弾きのゴーシュ (角川文庫) 宮沢 賢治 末尾のクレジットによると、チェロ演奏は広島交響楽団首席のマーティン・スタンツェライトさん[HP]。

ヨーヨー・マのエルガー協奏曲@ハリウッド・ボウル

[ 2014/09/17 Wed] チェロと音楽

ヨーヨー・マが8月、ロサンゼルス・フィルと共演したエルガーのチェロ協奏曲の録音が、オンデマンドで聴けるようになっていました。 8月14日、ロサンゼルスの野外音楽堂ハリウッド・ボウルでの演奏で、指揮はレナード・スラトキン。 地元のラジオ局KUSCが9月14日に放送したもので、1週間限定だから日本時間で21日の日曜日までは聴けると思います。

SoCal Sunday Night: LA Phil at the Hollywood Bowl [KUSC.org] Yo-Yo Ma Plays Concertos Sonatas

プレイボタンを押して聴ける約90分の番組のうち、16分(-74:00)くらいから30分間がヨーヨー・マのエルガー。 全体のプログラムは、ウォルトンの戴冠行進曲、エルガーのチェロ協奏曲(アンコールはなし)、ドビュッシー/ラヴェル編のサラバンドと舞曲、ドビュッシー「海」。

タグ : ヨーヨー・マ 

戦場のチェロ

[ 2014/09/16 Tue] 変なもの

少し前のスティーブン・イッサーリスのツイートで知ったのですが、第一次大戦(1914-1918)当時のイギリス陸軍兵士が戦場で弾いたトレンチ・チェロ(trench cello, trench=塹壕)というものがあるのだそうです。

イギリス陸軍に従軍したアマチュア・チェリストが作ったもので、なんと空の弾薬箱を胴に使い、持ち運ぶときはネックや弓を箱の中にしまって持ち運べるようにしてあるのだそうです。 これは平和な世の中にあっても欲しくなりますね。

イッサーリスが「哀切で、心を打つ音色」と言うこのトレンチ・チェロ、実際の音色が聴きたくなりますが、英国王立音楽アカデミーが今月から開催するWar Music(戦時下の音楽)という展示に合わせて今月22日、イッサーリスが演奏を披露するそうです。

[追記] そういえば、トレンチ・コート(trench coat)も第一次世界大戦のときイギリス軍兵士が寒さをしのぐために作られたのが起源、といわれているのでしたね[Wikipedia]。

タグ : スティーブン・イッサーリス 

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青木十良さん死去

[ 2014/09/14 Sun] 雑記

チェリストの青木十良さんが99歳で亡くなられたそうです。

訃報:青木十良さん99歳=チェリスト [毎日 2014.09.13]
青木十良さん99歳(あおき・じゅうろう=チェリスト)8日、肺炎のため死去。葬儀は近親者で営んだ。(中略)終戦6カ月前にNHKに入り、チェロ奏者としてプロコフィエフなどの日本初演を行った。85歳を過ぎてから録音を始めたバッハの無伴奏チェロ組曲全6曲で注目を集め、ドキュメンタリー映画「自尊(エレガンス)を弦の響きにのせて」が2012年に公開された。05年度新日鉄音楽賞特別賞。

初めて青木十良さんのことを知ったのは、村上陽一郎さんのチェロの先生としてで、村上先生のコンサートのときには同じ紀尾井ホールの客席にいらしたはず。もちろん現在のチェロ界の重鎮の先生方の多くを教えた方。

チェリスト、青木十良 単行本 飛鳥新社 大原哲夫 チェリスト、青木十良」(大原哲夫著、2011)では、チェリストとしての軌跡をインタビューに答えるかたちで語っておられ、特に戦争中から終戦の頃、NHKのラジオ放送局の現場にチェロ奏者として居合わせた時の話は、飄々としておられながら、時代の証言として迫力がありました。

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レッスン #261

[ 2014/09/12 Fri] チェロと音楽

シュレーダー149番、ピアッティのカプリースの7番。 全弦移弦しながら旋律と和声を弾くのは前に弾いた5番と同じだけど、アップスタートなのと低いほうの弦が旋律になるのが特徴。 きょうは前半のみ。

バッハ無伴奏チェロ組曲の第6番サラバンド。全音の楽譜を元に指使いとボウイング、それに「省略した音符」に印をつけた楽譜をお渡しして。 というのは、いろいろな演奏を見たり聴いたりしていると、4重音を3重音にというように、省略して弾いている箇所があるように思えたから。 このことに気づいたのが、それなら自分にも弾けるかも知れない、と思ったもう一つのきっかけ。

何度か繰り返し。楽譜に書いた「方針」にR子先生は特に何も言わなかったかわりに、先生の楽譜を見せてくださった。

前回のレッスンから2週間、自分でも驚いたのは、先生の前で弾くと決めて練習したら、それまで弾けなかったところが短期間に弾けるようになったり、それまで楽譜の読めていなかったところが読めたりしたこと。 長い間ただ憧れているだけでは、こうはならなかったと思う。

タグ : チェロレッスン 

リサイタルのお知らせ動画

[ 2014/09/12 Fri] 雑記

チェリストの中木健二さんが10月21日、東京オペラシティで行うリサイタルのお知らせビデオ。事務所の「社員犬」の対応がりっぱ(30秒過ぎ)。

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世界最小の弦楽器

[ 2014/09/11 Thu] 変なもの

世界最小?のバイオリン。ベネズエラの弦楽器職人、モナカさんという方の作品[ViolinChannelより]。

確か、小さいだけならスコットランドの元チェリストの職人が作った、1.5インチ(3.8センチ)の精巧なミニチュアが話題になったことがありましたが[DailyMail 2012.11.05]、今回のこれは「実際に演奏できる」ところがポイント。

ただ、この分野、日本人がその気になれば、すぐに世界記録を塗り替えそうな気がしますが、どうなんでしょうか。

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今週の練習

[ 2014/09/10 Wed] チェロと音楽

このところ全米オープンに熱中していたけど、チェロも弾いてます。

前回レッスンの後、バッハ無伴奏チェロ組曲の第6番サラバンドを弾いてみていて、次回のレッスンで見てもらうつもり。この曲は、チェロの曲で最も美しい曲の一つと思っている曲で、いつか弾けるようになりたいと思っていたけど、何しろ難しいのであきらめていた曲。

それが、このところピアッティのエチュードを弾いたり、ボッケリーニの協奏曲を弾いたりしているうちに、 こんなに難しいのが弾けるんだったら(もちろん「あるレベルで」ではあるけど)、このサラバンドだって「あるレベルで」弾けるんじゃないか、と思ったのがきっかけ。 よく似たポジションが出てくるような気もしていた。

発表会の予定でもあれば華やかなソナタにでも取り組みたいところだけど、幸か不幸かしばらくその予定もない。

この曲を教えて欲しいと言うと、R子先生「お好きなかたが多いんですよね…」。わたしは薦めないけど、そう言うのなら仕方ないですね…と聞こえた。 まあとにかく弾いてみなければ、その先のことはわからない。

今週はこの他に、ピアッティのカプリース7番(シュレーダー149番)。