ドラマ「カルテット」初回観た 

2017, 01. 18 (Wed)

松たか子、松田龍平、高橋一生、満島ひかりの4人が弦楽四重奏のカルテットを組むというTBSのドラマ「カルテット」の初回を観ました。 演奏する演技や音楽に関係した設定やセリフが、ドラマを楽しむじゃまになるほど不自然だったらいやだなと懸念していましたが、初回を観たかぎりそれほどではなく、しばらく楽しめそうだと思いました。

もちろん楽器を持ったり演奏する動きがある程度不自然なのはしかたがないとして、かなりがんばってはいる。 ちょっと感心したのは、満島ひかりさんがチェロを弾き始めるときにちゃんとブレスをしているところなどでした。

このドラマの設定でいいところは、この4人が演奏家としてコンクールや世界の舞台を目指すような若手ではなく、 おそらく一度は夢破れて挫折を味わった、若者というには少し年齢の行った4人だというところで、そんな4人の物語として見ると「共感」できそうに思いました。もちろんどう感じるかは人それぞれですが。

このドラマ、録画していなくてもTBSのサイトで1週間無料で見られるのですね。見逃した方はどうぞ。
カルテット 第1話 [TBS]

タグ : ドラマのチェロ 

Piano Guysがトランプ大統領就任式で演奏 

2017, 01. 18 (Wed)

ピアノとチェロで数々のカバー曲を演奏する動画でいつも楽しませてくれているThe Piano Guysが、20日に予定されているトランプ新大統領の就任式で演奏することになっているそうです。

トランプ新大統領の就任式をめぐっては、声のかかったアーティストの出演拒否や辞退が相次いでいるのが話題になっていましたが、このPiano Guysが就任式に出演することに対してもずいぶん厳しい批判があったよう。

これに対してPiano Guysは15日、公式サイトで就任式の出演依頼を引き受けた真意を説明する声明を発表していました。 それによると出演は、人種・性別・宗教・政治的信条に関わらず、聴いてくれた人に愛や希望のメッセージを伝えたいという気持ちによるものだということです。

約1,000ワードに及ぶ長い文章の中に「トランプ」の名は一度も出てこず、名指しは避けながらも女性を蔑視する言動には反対することを明言し、就任式での演奏がトランプ新大統領への支持を示すものではないことがうかがえるほか、今回の出演に批判を寄せる人に対しても真摯に理解を求める内容になっています。

音楽家が仮に自分と相容れない信条の人のために演奏を依頼されたとして、それを断固として拒否するか、それでも引き受けるか?はいろいろな考え方があると思います。 歴史的にはパブロ・カザルスがスペインの、ロストロポーヴィチが旧ソ連の政権に抵抗したような姿勢のほうが英雄視されるものかも知れませんが、今回のPiano Guysのような判断もまた一つの見識ではないかという気がします。

なお、トランプ大統領就任にあたってはPiano Guysのほか何組かのミュージシャンが演奏することになっていて[NYTimes]、 かつてオバマ大統領の就任式でヨーヨー・マらが演奏したように式典の中ではなく、直後に開かれるパーティの場かも知れません。

Piano Guysの最近の演奏。

オーストラリアの「白鳥」は黒鳥 

2017, 01. 17 (Tue)

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オーストラリアでは錦織選手が奮闘するテニスの全豪オープン選手権が始まっていますが、そのメルボルンより少し西のアデレードでは、夏休みを利用してオーストラリアユースオーケストラのメンバーたちが合宿中。

チェロのローズさんが一人で静かに練習しようとしていると…

[Slippedisc経由Australian Youth Orchestra]

ハクチョウが白くないので、おやっと思ったら、オーストラリアでハクチョウは、黒いコクチョウが唯一の固有種なのだそうです[Wikipedia]。

ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質 ナシーム・ニコラス・タレブ よく社会で常識的には予測できない事態を「ブラック・スワン(black swan)」などと言いますが、全ての白鳥は白いと信じられていたところ、17世紀にオーストラリアで黒い白鳥(黒鳥)が発見されて鳥類学者の常識がくつがえされたことにちなんで、右の著書で提唱されたのが語源なんだそうです。

そういえば、ブラジルの作曲家、ヴィラ=ロボスには「黒鳥の歌(O Canto do Cisne Negro)」という曲がありましたね。同じ南半球のブラジルのハクチョウは黒いのか白いのかまでは、ちょっとわかりませんでした。

ジャン=ギアン・ケラスの三重協奏曲 

2017, 01. 16 (Mon)

ジャン=ギアン・ケラス(49)がゲヴァントハウス管弦楽団とベートーヴェンのトリプル・コンチェルトOp.56を弾いたきのう15日の公演がarte.tvで見られるようになっていました。指揮は今年90歳を迎えるヘルベルト・ブロムシュテット。ヴァイオリンはイザベル・ファウスト、ピアノはマーティン・ヘルムチェン、チェロが今年50歳を迎えるジャン=ギアン・ケラス。

Herbert Blomstedt und Isabelle Faust spielen Beethoven [arte.tv 17.01.15]

トリプル・コンチェルトのときのアンコールはどうするんだろう?…と思っていたら、ソリスト3人でベートーヴェンのピアノ三重奏曲第4番「街の歌」Op.11の2楽章アダージョ(44分頃から)。後半はベートーヴェンの交響曲第5番。 tripleconcerto.jpg

さすがにテレビ局が配信しているだけあって画質・音質はいいように思います。数か月は公開されていると思うのでお時間のあるときにどうぞ。

[オーケストラオンデマンド経由]

タグ : ジャン=ギアン・ケラス 

ウィスペルウェイのバッハ組曲全曲ライブ 

2017, 01. 15 (Sun)

オランダのピーター・ウィスペルウェイ(54)が14日、アムステルダムの北教会で開いたバッハ無伴奏チェロ組曲全曲演奏会がフェースブックでライブ配信され、その動画が視聴できるようになっていました。
wispelwey.jpg

現地19:30(日本時間15日午前3:30)から行われた3時間半ほどの演奏会で、ウィスペルウェイは20分頃に登場して、 バッハの組曲を1番から6番まで順に演奏。[追記: 音声と映像が少しズレるようなのがちょっともったいない…]

ウィスペルウェイはバロック・チェロとモダン・チェロと両方を使いこなすことで有名ですが、動画についたコメントによるとこの日使っているのはガダニーニ1760年製のモダン・チェロ。 ウィスペルウェイはこの直前にも(おそらく4日前の10日、フランス・リヨンで)バッハの組曲全曲演奏会をやったばかりで、そのときはロンバウツ1710年製のバロック・チェロを使っていたそうです。

レッスン中止 

2017, 01. 12 (Thu)

本来なら、あす13日が今年最初のレッスンの予定だったところ、一身上の都合で中止とさせていただくことにした。

13年を過ぎたR子先生の月2回のレッスンは、これまで一度も欠かしたことがなく、かなり前から決めていた日程の変更や振り替えをのぞいて──一度だけ止むを得ず延期になったのに2011年3月11日があったが──中止とさせてもらうのはこれが初めてのこと。

それだけレッスンの時間をこれまで大事にしてきたし、結果的にそれを守ることができたのは幸運もあった。またR子先生もレッスンの時間を大事にしてくれているのは、すごいことだと思う。

しかし、まあ、今回はそれだけ止むを得ない事情ということ。今月下旬のレッスンには予定通りうかがえる見込み。ここにも来週には帰ってきます。

タグ : チェロレッスン 

2016年最も忙しかったチェリスト 

2017, 01. 10 (Tue)

世界中のクラシックコンサートをリストアップしているとするイギリスのサイトbachtrack.comは、 2016年に世界中で開かれたオペラ・バレエを含むクラシックコンサート32,000余りを調べたまとめを発表していました[Strad経由]。

それによると、日本のコンサートは欧米に比べて「ロマン派の演目が多い」(バロックや現代ものが少ない)「午後開催のコンサートが多い」(日本28%、ヨーロッパ8%)といった特徴が見られるということでした。 いわゆるマチネが多いのは生活様式や観客の層の違いもあるのかも知れませんが、互いに参考になるところかも知れません。

世界中で最も演奏された作曲家はベートーヴェン、曲は「運命」、というのはまあそうかな…というかんじでしょうか。

面白いのは「2016年に最も忙しかった音楽家」という項目で、指揮者はゲルギエフ、バイオリニストはカバコス、ピアニストはトリフォノフ(辻井伸行さんが4位)、 そしてチェリストではハンガリーのイシュトヴァン・ヴァルダイ(István Várdai)だったそうです。 Istvan Vardai

イシュトヴァン・ヴァルダイは1985年生まれで、2014年のARD国際コンクール1位、 昨年末にはデュプレが使っていたストラディバリウスが貸与されることになったというニュースもありましたから(ヨーヨー・マが使っている“ダビドフ”とは別)、いま最も世界的に売出し中、というところでしょうか。

トップ10は:
1. イシュトヴァン・ヴァルダイ
2. ゴーティエ・カプソン
3. トルルス・モルク
4. ソル・ガベッタ
5. ヨハネス・モーザー
6. ダニエル・ミュラー=ショット, アリサ・ワイラースタイン
8. ヨーヨー・マ
9. ジャン=ギアン・ケラス
10. アルバン・ゲルハルト

このbachtrack.comというサイトはこれまで知らなかったのですが、英仏独西語にしか対応していないものの、コンサート一覧のページに日本の情報もそこそこリストアップされているように思いました(今年10月までの主要オーケストラ公演を中心に100件くらい)。

溝口肇さん音楽のCM 

2017, 01. 08 (Sun)

溝口肇さんのチェロが流れるCM。

これ、新年の駅伝中継で見たときには「世界の車窓から」のスポットか何かだと思って、何かのCMだとは思いもしませんでした (きっと視聴者にそう思わせるCMは「いいCM」なのでしょう)。

一緒に公開されていた溝口さんのインタビュー動画を見ると、さすが音楽にもこだわって作られたことがわかります。曲はガーシュインの"Someone to Watch Over Me"、このアレンジにはチェロが溝口さん以外に6人も参加しているそうです。そのお一人、玉川克さんのツイートでこの動画を知りました。


タグ : CMのチェロ 

イギリス人から見たチェロの歴史 

2017, 01. 07 (Sat)

チェロという楽器がどうして現在の地位を築くことができたのか?…イギリスのガーディアン紙がチェロの歴史をざっと振り返る記事を書いていました。

Vast, deep and awash with feeling: the story of the cello [guardian.co.uk 17.01.06]

16世紀半ばヴィオラ・ダ・ガンバのライバルとして生まれたチェロは、イギリスでは17世紀の王政復古時代にガンバに取って替わる…チャールズ一世はガンバの愛好家だったが、チャールズ二世はチェロをより好んだ…

18世紀に入るとイタリアでストラディバリが黄金期を迎え、ヴィヴァルディがたくさんの曲を書き、ドイツではバッハが組曲を… 18世紀後半から19世紀になると、ボッケリーニが自らの技巧を活かした曲、 ハイドンが2つの協奏曲、ベートーベンが5つのソナタでチェロのロマン派時代を切り開くと、ショパン、ブラームス、ドボルザーク…ときて、ジャクリーヌ・デュプレによるエルガーの協奏曲の演奏で頂点を極める…

…と、ざっとそんな調子で、イギリス中心の視点ではありますが、チェロの歴史をよくここまで短くまとめたものだと思いました。

ところで、この記事の書き出しにある

"Why write for a violin when there is the cello?" asked Rachmaninov.
[「チェロがあるのに、なぜバイオリンの曲を書くというのか?」とラフマニノフは問うた。]

これは「なぜバイオリンの曲を書かないのか?」と問われたラフマニノフがこう言ったという話として、似た話を何度か聞いた(か読んだ)ことがあるのですが、原典がわかりません。ラフマニノフは本当にこんなことを言ったのでしょうか? あのチェロソナタを書いたラフマニノフなら言ったかも知れないという気がしますが…


ポンセ「エストレリータ」(小さな星) 

2017, 01. 05 (Thu)

新年が明けて、オーケストラもレッスンも始まるのはまだ来週…というわけで、 年末にNHK名曲アルバムで聴いてとてもいい曲だと思ったメキシコの作曲家、マヌエル・ポンセ(Manuel Ponce, 1882-1948)の「エストレリータ」(Estrellita,小さな星)という曲を弾いてみているところ。

「名曲アルバム」で演奏していたのは、チェロが江口心一さん、ピアノが加羽沢美濃さん。 ポンセが育ったメキシコの街の風景をバックに流れる甘く切ない旋律に、チェロの響きがとても合っていた(残念ながらこの再放送の予定は当面ないよう)。

ポンセは、この「エストレリータ」という曲が最も有名で代表作とされていて、ピアノ、ギター、バイオリンなど多くの楽器で演奏されているが、中でもバイオリンのハイフェッツ(1901-1987)が演奏して有名になったのだそう。

ハイフェッツによる演奏。1939年の映画"They Shall Have Music"(邦題「彼らに音楽を」)の1シーン。

実はこの曲にはポンセ自身が書いた歌詞がついている。ポンセは20代の頃、故郷に向かう夜行列車の中でこの曲と歌詞を書いたという。

遠い空の小さな星 私の悩みを見ている星
私の苦しみを知る星よ
もしもあのひとが少しでも 私のことを愛しているのなら
降りてきて教えておくれ
なぜなら私は生きてゆけない あのひとの愛なしには…
[NHK「名曲アルバム」より]

この甘く切ない歌がポンセにとってどれくらいが「真情の吐露」の部分だったのか、それとも劇伴やカフェなどで「売れる」ことを意識したものだったのかはよくわからない。いずれにしても、ヨーロッパで本格的に作曲を学んだポンセは、後世この曲が「代表作」として弾き(歌い)継がれることになるとは思っていなかったのではないだろうか?…

***

日本語歌詞で歌っている録音には錦織健さんのものがあった。アマゾンのほか、レコチョクでも試聴できる。 ハバネラ~チェロ小品集~ 藤村俊介

チェロの小品として弾いているのに、N響の藤村俊介さんの小品集があった。これも右のアマゾンへのリンク先で冒頭がちょっとだけ試聴できる。

楽譜としては:

  • ハイフェッツ編のバイオリン譜がCarl Fischerから出ている。 これをオクターブ下げして使うことが考えられるが、調性が嬰へ長調(Fis-dur,♯6つ)とちょっととっつきにくい。 ハイフェッツはどうしてこんな難しい調にしてしまったのか…
  • 市販のバイオリン小品集などには、ヘ長調の楽譜も出ているらしい。 ちなみに上の江口さん、藤村さんのチェロでの演奏もヘ長調だったように思う。
  • カサド編曲のチェロ譜がInternational Music Co.から出ている。これは変イ長調(Des-dur,♭4つ)。
  • IMSLPには、 男声独唱用のニ長調の楽譜があったので、現在はこれを使って弾いてみているところ。

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これまでにも、少し前に聴いた曲に急に夢中になり出す…ということがあって、 フォーレの「子守歌」プーランクの「愛の小径」などがそうだった。 どうもロマンチックな小品に自分は弱いらしい…

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