2016.08.24
Wed

バグパイプ肺

イギリスの伝統楽器バグパイプが原因の病気で亡くなった方がいるとのこと。

バグパイプ内の菌で男性死亡? 管楽器奏者に警鐘 [AFPBB 16.08.24] スコットランドのバグパイプ ベスト

イギリスで毎日バグパイプを演奏していた61歳の男性が、7年間にわたる乾性のせきと息苦しさに悩まされたため、 主治医らがバグパイプの中を調べたところ菌類が繁殖しているのが発見され、この男性は2014年に死亡した…という症例、 "bagpipe lung"(バグパイプ肺)が医学誌に報告[原文]されたとのこと。

いかにもバグパイプの中は洗ったりしていなさそうですから、もっともらしく思えました。

しかし、イギリスの医学誌で、楽器がらみでは、以前こういうニュースもありました。

チェリストの医学会誌症例報告はウソ [2009.01.28]

チェロを長年演奏している男性が股間に楽器を押し当てることによる cello scrotum という症状がイギリスの医学誌に報告されていたけれど、イギリスの医師で上院議員(しかも女性)のウソだった、という話。イギリス人は、不謹慎ぎりぎりの、意外なところでユーモアを発揮するので気をつけないといけません。

ただ、今回のバグパイプの場合、英ガーディアン紙によると死亡にまでは至らなかったケースは過去にもあったのだそうで、2013年に、77歳のバグパイプ奏者が肺の疾患で重体になったために、バグパイプ演奏家団体が楽器を適切に掃除するよう注意喚起をした、ということがあったそうなので、ある程度信用してもいいのかも知れない。

そういえば、しばらくチェロの中を覗き込んでみたことがありませんが、どうなっているか…

2016.08.22
Mon

新妻聖子さんが「真田丸」に

歌手・女優の新妻聖子さんがNHKの「真田丸」で大河ドラマに初出演!

徳川秀忠の正室・江役は、新妻聖子さんに決定! [NHK 16.08.20] 真田丸 完全版 第壱集

江といえば竹内結子が演じる茶々の妹で、星野源演じる徳川秀忠の妻。 偉大な父・家康に圧倒される秀忠を「暑苦しいくらいポジティブ」に支える役ということで、 聖子さんの魅力がいかんなく発揮されるのではないかと期待しています。

脚本・三谷幸喜というと、舞台「国民の映画」で新妻聖子さんがナチスの時代のドイツの、意志の強い女性映画監督レニ・リーフェンシュタールを演じたのがすぐに思い浮かび、そこに通じるものがあるのではないかと、今から想像をたくましくしています。

「真田丸」は毎週欠かさず見ていて、特にあの時代の人たちも皆弱さを抱えた人たちだったという視点で、登場人物一人一人に愛情を注いで描かれているのが、とてもいいと思っています。

新妻聖子さん演じる江が登場するのは、9月4日放送の第35回からだそう。

タグ : 新妻聖子 

2016.08.20
Sat

レッスンの心構え、本番の心構え

アメリカのチェリストで指導者のローレンス・レッサー氏(1938-)が、ヴァイオリンを中心とした情報サイトThe Violin Channelの記事で
「レッスンや本番前にどんなウォーミングアップをしたらいいですか?」
という質問に答えていて、これがとてもためになると思ったので。

ASK THE PROS | "Warming Up for a Lesson or Performance" - Cellist, Laurence Lesser [The Violin Channel, August 18, 2016]

レッスンの前のウォーミングアップと、演奏会本番前のそれとはまったく違うものです。 順に説明しましょう。

レッスンに行く前には、課題をよく練習しておくことはもちろんですが、 自分の目標に向けてどこを教えて欲しいか、よく考えておくことです。 もちろん、先生を満足させるように弾きたいとは思うでしょう。 しかし、先生と生徒が向かい合うレッスンの一番の妙味となる成果は、疑問や難しく感じるところを正直に話すことから得られることが多いのです。 本当に上手に弾いて「よくできました…じゃ次回は2楽章ね」というのは、いいレッスンだったとは言えません。 普通はそうなりませんが、悩むことはありません。 先生はあなたを助けるためにいるのですから、あなたが求めているものを、あなたなりに表現すればいいのです。 教師としての経験の中で最もうれしい瞬間は、教師と生徒とが真に協力し合って何かができたときで、レッスンの目的はあなた自身が答えを見つけられるようにすることなのです。

本番前のウォーミングアップは全く違います。 本番前に難所を練習すると、自分を緊張させることになります。 演奏意図を見直すのは悪くありませんが、ボウイングやフィンガリングを直前に変えると自分で混乱を招きます。

役に立つと思うことが2つあります。 1つめは、哲学、あるいは心理学に属することかも知れませんが、 「(聴衆の)みんなはきょうどうしてあなたの演奏を聴きに来てくれたの?」と考えてみることです。 みんなはあなたを「やっつけてやろう」と思って来ているのでなく、 あなたがみんなにはできない何かを持っていて、その何かを与えてくれると思うから来てくれているのです。 そう考えると気持ちの大きさ(generosity)とも言える前向きな感情が湧いてきて、これからしようとしていることに自信が持てます。

もう1つは、弦楽器奏者として私が役に立つと思うことですが、 本番前にプログラムにない別の曲で、あまり速くない曲を何か弾いてみて「自分の音」を探します。 そうすると私は楽器とのつながりを感じることができ、これから弾く曲によく耳を傾けることができます。 自分が弾く曲に耳を傾けることができなかったら、どうしてみんなが耳を傾けたいと思ってくれるでしょう? 最後にすることは、大きな気持ちでステージに歩み出ることです。 あなたはこれから練習部屋とは全く違う「空間」に出ようとしているのです。

ぜひ試してみてください。あなたの役に立つことを願っています!

─ローレンス

[※拙訳。全文はこちら。]

ローレンス・レッサー氏は、長年ボストンのニューイングランド音楽院で多くのチェリストを育ててきた方で、 チェリスト・指導者として来日も多数。3年前亡くなったヴァイオリニスト、故潮田益子さんの夫でもありました。 「無伴奏チェロ組曲」を求めて ─ バッハ、カザルス、そして現代 単行本 エリック シブリン

また、近年バッハの無伴奏チェロ組曲について書かれた本「無伴奏チェロ組曲を求めて」の著者エリック・シブリンは、このレッサー氏の無伴奏リサイタルを聴いて衝撃を受け、その後何年もかけてこの本を執筆することになった、そのきっかけになったチェリストでもあります[過去記事]。

2016.08.19
Fri

レッスン #308

ポッパー14番。長いスラー・スタッカート。2小節間のスラーは我慢したけど、3小節間のスラーはさすがに途中で弓を返してしのいだ。 popper14-22.png

後半は、時々フラジオレット。22小節(後半ページ2段目)をどう弾くのか初めわからなかったのだが 前の小節からのロ短調の音階の流れとジョシュア・ローマンの演奏から、菱形(◇)の2オクターブ上が実音で(◇の音を親指、その4度上を3で触る人工フラジオレットで) H D C# E D F# E G となるようだとわかった。

piatti12.png 人工フラジオレットは通常、押さえる音の音符と触るだけの4度上の音(◇)との組み合わせで表すと思うのだが(譜例はピアッティの12番)、ポッパーは省略したのだろうか?…

***

ハイドンの協奏曲2番D-dur。3楽章カデンツァから。重音はまだしも、16分音符の連続には苦労した。最後の駆け上がりは気合い。

戻って3楽章を通し。 haydnd-3.png 冒頭の旋律は軽やかで楽しいが、Aから始まる16分音符の連続がやはり難所。 しかもニ長調のわかりやすい和音に乗っているから、少しでも音程が外れると誰の耳にもバレてしまう。

一方、余裕のある音符になったからといって、すぐにビブラートに飛びついてはいけない。

さらに、3ページに渡ってずっと忙しくて、楽譜をめくるタイミングがない。仕方がないので、譜面台からはみ出すのを承知で横長に3ページ並べた。みんなどうしているのだろう?と考えたら、すぐに答えはわかった。ソリストはこれを暗譜で弾くのだ!…

R子先生「難しいのにそう見えないように弾いててすごいです」。そうだったらいいんだけど。

タグ : チェロレッスン 

2016.08.16
Tue

錦織、銅メダル

リオ五輪の男子テニスで錦織圭選手が、準決勝でマレーに敗れはしたものの、三位決定戦でナダルを破って銅メダルという結果を残し、あわせて体の故障がなかったことに、ほっと安堵したというのが正直なところ。

通常の大会と違ってランキングにも反映されず、ボールボーイの動きの悪さにも表れたような運営のあぶなっかしさは感じたものの、ふだんテニスを見ない人にも注目され賞賛されている様子を見聞きすると、やはり国を背負ったオリンピックに出場することは大きいと感じた。 錦織選手自身も他の競技を見たり、選手村の生活を満喫していたようなのはよかった。

恐れていたのは、もしウィンブルドンでのようなこと(故障のため4回戦チリッチ戦途中で棄権)があった場合で、4年に1度のオリンピックなのだから最後まで闘うべきだ、というような声が起こったりしないか?ということだった。そういうことにならなくて本当に、本当によかった。

今回の大きな山は準々決勝のモンフィス戦だったが、最終セットのタイブレーク6-3のマッチポイントからモンフィスが取り切れず、特に6-5のサーブでダブルファーストをして結果的にダブルフォールトしたのは、これまで何度も接戦を演じながら一度も錦織選手に勝てていない焦りというものだったか。

準決勝のマレーの壁は厚かったが、以前ほどの差はないと感じた。錦織選手のサーブは、以前ほど速さは追及しなくなったようだが、それでよくなった。 三位決定戦のナダルには、ラリーで主導権を取れていたので、第2セット5-2から逆転されたとき以外は安心して見ていられた。 第3セットの前のトイレットブレークは、ナダルの側からすると早く再開したいところだったろうが、もちろんルールの範囲内だし、ナダルもよく長いルーチン動作で相手を待たせるので、あまり人のことは言えないだろうと思った。

今週からはもうシンシナティで大会、今月末には全米が始まる。それまでにどこかで少し休養して欲しいところ。

タグ : 錦織圭 

2016.08.14
Sun

アンコール

イギリスの音楽祭プロムスの5日の公演で、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を弾いたフィンランドのヴァイオリニスト、 ペッカ・クーシスト(39)のアンコールが、ユーモア溢れるトークあり、観客を巻き込んだパフォーマンスありで楽しい、と評判になっていたので [Slippedisc, Stradなどより]。

…4分半ほどお時間いただきます。フィンランドの伝統的な民謡で、カレリアという、フィンランドとロシアの間に位置する地方に伝わるものです。 1850年頃のフィンランドの民謡の一つで、この頃まだロシアはフィンランドの一部でした。[場内爆笑と拍手]  もちろん見方によりますが…[笑] 本当は、Brexit(イギリスのEU離脱)に関するジョークを言おうと思っていたんですけど…[笑]

この歌は4番まで歌詞があります。ある男が恋人の女性のことを歌った歌です。当時、痩せた女性は美人とはみなされていませんでした。
1番は、僕の彼女はとても美人、でも痩せっぽちだ…
2番は、彼女はきれいな青い目をしている、でも左右別の方向を見ている…
3番は、彼女の口はとても美しい、でもとても大きい…
4番は、彼女と市場に行ったら、馬までが笑い出した…という歌です。
[以下、2分過ぎから演奏と歌]

演奏にはコンサートマスターの女性を巻き込み、3分20秒くらいからは、聴衆に「ヘイ オリラ イララ」(?)という部分を一緒に歌うように"指導"。 意味はわかりませんが、合いの手みたいなものかも知れません。観客もノリが良く、楽しそうに声を合わせて歌い、最後は大きな拍手。

曲はフィンランドの"Minun kultani kaunis on"(僕の彼女は美しい娘、の意)という民謡だそう。 なんだかひどい内容の歌詞ですが、この歌のことを調べたら、フィンランドには「バラでなくともジャガイモにも美しい花が咲く」という諺があるらしいです。

***

この日、クーシスト氏が本編でまじめに弾いたチャイコフスキーの協奏曲の演奏は、音声だけですがこちら。 オーケストラは、トーマス・ダウスゴー指揮のBBCスコティッシュ交響楽団。会場はロイヤル・アルバート・ホール。

2016.08.12
Fri

リオ五輪の国歌

リオデジャネイロ五輪で演奏されている「君が代」がゆっくりだと話題になっていますが、自国の国歌が「何か違う」と感じているのは日本人だけではないらしく、アメリカ人にはオリンピックでのアメリカ国歌 "The Star-Spangled Banner" の演奏に違和感を感じる人がいることが、ニューヨークタイムズで記事になっていました。

At Rio Olympics, the National Anthem Sounds … Sad? [NYTimes 16.08.11]

これによると、オリンピックで流れているアメリカ国歌は、通常よりもキーが高くて歌いにくいこと、 またオーケストラの伴奏で通常は長調の和音がつくところに短調の和音がついているのが、暗くて違和感を感じるのだそう。 例えば、最後のほうで"...land of the free!" ~と高い音で盛り上がるところ。

「君が代」のテンポに比べれば、微妙でわかりにくい違いかも知れませんが、この歌を何度も聞いたり歌ったりしているアメリカ人には気になる人がいるようです。

この音源は、前回ロンドン五輪のときにイギリスの作曲家でチェリストのPhilip Sheppard氏が各国の国歌を一括して編曲し、ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団が録音したものだそう。

国旗掲揚と表彰式の進行のため、国歌を60~90秒におさめることには苦労したらしく、例えば、6分半もかかるウルグアイの国歌は大幅にカットし、9小節しかないウガンダの国歌は繰り返しを入れたりしたのだとか。

[追記]
アメリカの音楽批評家アレックス・ロス氏は上の記事に対して、短調の和音をつける編曲はポップス歌手が歌うバージョンの影響と思われ、短調の和音だから違和感があるというのはやや愛国主義志向が過ぎるのではないか、と指摘。あわせて、アメリカ国歌の編曲が議論を呼んだのは、1944年のストラヴィンスキー版(装飾が多すぎ)、1892年のスーザ版(ワーグナー風)、2004年アテネ五輪版(優雅すぎる)など、過去に何度もあったことを指摘していました。

***

ちなみに今回の「君が代」の音源は、ソチ五輪に合わせて下野竜也さん指揮の読売日本交響楽団が演奏したものだそうで[読響HP]、 この中で「国際オリンピック委員会(IOC)の要請で従来より少し長い演奏となった」と書かれています。

これについてチェリストの山本裕康さんがブログで、音楽家の判断でなく、依頼者側の都合でテンポに注文をついたことに疑問を呈しておられたのも、一部なるほどと思いました。

ただ、儀式やイベントの都合で演奏に制約や注文がつくことは、プロの仕事の現場にはよくあることかと思われ、それに対して音楽的に逸脱しない範囲で対応するのも、またプロならではの技ではないかな…とは思いました。今回の「君が代」テンポが、音楽的に逸脱しない範囲の内か外かは、いろいろな感じ方があるでしょうけど。

[追記]
後日、リオでの「君が代」のテンポが遅いことについて、朝日新聞が記事にしていました。
リオで流れる君が代、なぜゆっくり? 実はソチでも… [朝日16.08.16]

読響が演奏したというあたりは、上記の通り。その他、今回の「君が代」は1分17秒、NHKの君が代は57秒、ロンドン五輪では前奏をつけて1分以上にしていた…。国旗・国歌法を所管する内閣府大臣官房総務課によると、法律で定められているのは歌詞と旋律のみで、テンポの決まりはないものの、陸上自衛隊中央音楽隊の「君が代」の楽譜には「テンポ=69」の指定があり、これだと1分弱とのこと。

2016.08.11
Thu

錦織の読み

テニスの錦織圭選手のおかげで島根県に多い「錦織」の姓と「にしこり」という読みは有名になったけど、 この「錦織」という姓の読みについて、朝日新聞に詳しい記事が出ていたので。

錦織って何と読む? 五輪に2人、異なる読み方 島根 [朝日 16.08.11]

きっかけは、開催中のリオデジャネイロ五輪に島根県からテニスの錦織(にしこり)圭選手、女子ホッケーの錦織(にしこおり)えみ選手、 2人が出場していること。

錦織姓の多い島根では、学校や職場に「錦織さん」が複数人いて、それぞれ読みが違うのはよくあること。だいたい初めて会ったときに確認していると思う。 上の記事で、島根県知事が会見で一瞬間違えたというのも無理ない話。

…錦織は島根に多い姓で、出雲市平田町出身の映画監督・錦織良成さんは「ニシコオリ」。読みは他にもあり、出雲市出身のオペラ歌手錦織健さんや少年隊の錦織一清さん(県外出身)は「ニシキオリ」。「ニシゴオリ」「ニシゴリ」の読み方もある。

錦織姓は古代に大陸から渡ってきた錦の織物を作る集団が始まりとされる。島根での起源については、今も錦織姓が多い旧加茂町(雲南市)の町誌に記述がある。…[中略]

錦織姓について調べたことがあるという県職員の錦織(にしこおり)稔之さん(45)によると、「ニシコリ」は松江に、「ニシコオリ」は出雲や加茂など松江より西側に多い。「全国名字大辞典」(東京堂出版)によれば、島根では8割以上が「ニシコオリ」で、同じく錦織姓の多い千葉県では「ニシキオリ」が一般的だという。

オペラ歌手の錦織(にしきおり)健さんも本名は「ニシコオリ」。なかなかきちんと読んでもらえなかったことから、読みやすい「ニシキオリ」にして活動している。…
[全文]


タグ : 錦織圭 

2016.08.09
Tue

アルバン・ゲルハルトのドボコン

ドイツのチェリスト、アルバン・ゲルハルト(47)が3日、BBCプロムスでドボルザークのチェロ協奏曲を弾いたコンサートがオンデマンドで聴けるようになっていました。

Prom 25: Dvorak's Cello Concerto and Bartok's Duke Bluebeard's Castle [BBC Radio 3]

ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで3日に開催されたコンサートのライブ放送で、公開期間は1ヶ月間。 ドボコンの後、万雷の拍手に応えてアンコールにバッハの無伴奏6番プレリュード。後半はバルトーク「青ひげ公の城」。 演奏はシャルル・デュトワ指揮のロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団。

このコンサートの前後、アルバン・ゲルハルトがツイッターで、ピアニストでよくヨーヨー・マとコンビを組むキャスリン・ストットと「あらゆる楽器の協奏曲の中で最高の曲」、 チェリストのスティーブン・イッサーリスと「(ドボルザークの夫人の姉で、ドボルザークが慕っていたという)ジョセフィーヌの死と彼女のための3楽章コーダがなかったら全く別の曲だったろう」…などとやりとりしているのが読めて面白かったです。また、アルバン・ゲルハルトはいつもと同じようにロイヤル・アルバート・ホールでも耳栓をして演奏したそうです。

タグ : アルバン・ゲルハルト 

2016.08.07
Sun

チェロ・カルテット・コンサート

猛暑日の土曜日午後、ヨンゲン「2つの小品」に挑戦しているチェロ・カルテットの練習。 みんなが全パートを弾けるようにしようという試みも第2セットに入ったところ。

*** クァルテット・エクスプローチェ~響炎する4本のチェロ~Quartet Explloce

練習の後、みんなでなるべく日陰を歩けるルートを探しながら、トッパンホールでクァルテット・エクスプローチェのコンサートへ。

都響の森山涼介さん、読響の高木慶太さん、日フィル辻本玲さん、N響の市寛也さんという若くて実力のある4人が集まったチェロ四重奏団で、 このほど初のCDの発売に合わせて、1週間で福岡、松山、大阪、名古屋とツアーした後、この日は渋谷のタワーレコードでインストア・ライブをしてからトッパンホールに乗り込んだというから、さすがに若さのパワーは違う。

曲目はバッハ「シャコンヌ」、ラフマニノフ「ヴォーカリーズ」、ベートーヴェンのピアノソナタ「月光」、カサド「親愛なる言葉」、バーンスタイン「ウェストサイド物語」メドレー、 そしてピアソラのタンゴ「ラ・クンパルシータ」「オブリビオン」「鮫」というもの。 曲のスケールから言っても難度から言っても、メインに据えてもおかしくない「シャコンヌ」が、この4人にかかるとオープニング曲…。 ベートーヴェンのピアノソナタ「月光」は、激情があふれる速い3楽章までも4本のチェロで表現し尽くし、客席からブラボーの声も挙がった。 個人的にはドラマチックな「ウェストサイド物語」が良かった。編曲は「シャコンヌ」を除いてすべて小林幸太郎さん。 アンコールは、CDのラストにも収録されているアザラシヴィリ「無言歌」。さらに続く拍手に、この4人の年齢からは意外な玉置浩二「ワインレッドの心」(1983年)。

4人それぞれにキャラクターが違うところが面白く、概して辻本さんあたりが「こんなんどうや」と引っ張ると、残りの3人がさっとフォローしたり、時には「まあまあ」となだめたりしているのではないか、と想像しながら聴くと楽しい。

この4人にはますますチェロ四重奏の可能性とレパートリーを広げてもらいたいと思うのだが、ここまで何でも弾いてしまう4人だとすると、今後何を期待していいのか? 4月にはゴールドベルク変奏曲全曲を弾いてしまったというし、今回の「月光」のように別ジャンルの名曲の編曲の可能性はいくらでもあるのだろうし…と考えると考えがまとまらず、 アンケートの「今後希望する曲」の欄を、最後まで書き入れることができなかった。

チェロ四重奏という分野は、プロにこれだけ実力あるタレントが揃っている、その割には、レパートリーがまだまだ足りないのだと思う。

この4人のメンバーのうち市さんと森山さんがそれぞれドイツに留学されるとのことで、帰ってこられるまで、この4人の演奏は上のCDで。

»