2017.09.23
(Sat)

初ピアノトリオ

初めてのピアノ三重奏の合わせ。

ピアノ三重奏というのは、弦楽四重奏ともピアノ四重奏とも違って、チェロは華やかで自己主張の強いバイオリンとピアノとに一人で対峙しなければならず、よりごまかしが効かず、なかなか大変。こうしてみると室内楽におけるビオラという存在は、チェロにとって大切な「同志」で、仲良くしておかなければ…と思えてくる。

この日合わせてみたのは、ハイドン「ジプシー」、メンデルスゾーン第1番1,2楽章、それにドボルザーク「ドゥムキー」の5,6楽章。

メンデルスゾーン1番1楽章冒頭のチェロのソロは、事前の研究不足でバイオリンに指摘されて初めて気づいたのだが、 ダウンから弾き始めるものらしい。
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たしかにマイスキー(キーシン、ジョシュア・ベル)や 堤剛先生(中村紘子、海野義雄)をはじめ、ほとんどの演奏がそう弾いている。これがわかって、格段にそれらしく弾けるようになった気がした。

ピアノ三重奏でいいことの一つに、YouTubeにある演奏動画で(弦楽四重奏の場合などと比較して)チェロが見切れていることが少ないので、プロのボウイングを参考にしたいときにも都合がいい、というのがある。

来年披露することを目標に、これから時々集まって合わせてみることになった。

タグ : カルテット 

2017.09.21
(Thu)

米軍海兵隊のチェリスト

アメリカ軍の音楽隊にもバイオリニストやチェリストがいて、国の重要な儀式や晩餐会などで演奏する任務を負っていることは、以前、米空軍のフラッシュモブをきっかけに知りましたが、これは米軍海兵隊所属の室内楽団とそのチェリスト、プレスコット二等軍曹による演奏で、ドボルザークのロンドOp.94。

プレスコット二等軍曹は、6歳でピアノ、10歳でチェロを始め、ノースウェスタン大学とニューヨークのマンハッタン音楽学校でチェロを学んだチェリストだそう。

米軍の音楽隊の中でも海兵隊音楽隊(US Marine Band)は、歴史的にホワイトハウスで大統領が国賓を迎えたときなどにも演奏する機会が多いことから、「大統領閣下の("The President’s Own")音楽隊」と呼ばれるほどの格式を誇っているのだそうです。

その海兵隊音楽隊の室内楽団のチェロセクションは、現在所属している3名のチェリストに加わる新たな人員を募集中だそうです[海兵隊音楽隊Facebookより]。

現在の緊迫した安全保障上の情勢とは関係なく、軍の制服でチェロを演奏する姿に目を引かれたので…

2017.09.20
(Wed)

「謎の変奏曲」

世田谷パブリックシアターの舞台「謎の変奏曲」。 北欧の孤島で一人暮らしのノーベル賞作家(橋爪功)のもとへ取材にやってくる記者(井上芳雄)、という設定の二人芝居。 題名を見てわかるように、エルガー(Edward Elgar, 1857-1934)の「エニグマ変奏曲」Op.36をモチーフにした、二人の男の「謎」をめぐる物語。 フランスのエリック=エマニュエル・シュミット作。

緊迫感のある会話劇の中で、橋爪功の演技はさすが。脚本の翻訳も自然。 どんでん返しがあるので詳しくは書けないけど、 プロットからして、橋爪功の役はもう少し若く、 井上芳雄は逆に役に対して若々し過ぎて、もう少し中年の味が必要ではないかと思ったら、 この作品のパリでの初演(1996年)では、橋爪功の役をアラン・ドロン(1935-,当時61歳)、 井上芳雄の役を当時50歳前後の俳優(フランシス・ユステール)が演じていたと聞いて納得した。

井上芳雄は「ミュージカル界の貴公子」としてだけでなく、 2年前の「正しい教室」などでも見た、二面性のある役をこなしても凄みのある俳優として、着々と芸域を広げているのは立派だと思う。

公演時間は15分の休憩を挟んで2幕で2時間半ほど。

[追記] 朝日新聞21日夕刊に劇評があった→「謎の変奏曲」 美しさ際立つ言葉の力 [朝日]。共感したけど、少しネタばれしすぎな気もした。日本では過去に仲代達矢と風間杜夫(1998年)、杉浦直樹と沢田研二(2004年)でも上演されたと知って、ほおっと思った。

2017.09.20
(Wed)

バッハの組曲で放浪の旅

シドニー出身の若手チェリスト、リチャード・ナロウェイ氏(1991年生まれ)は、2年ほど前からオーストラリア各地を回ってコンサートホール以外の場所でバッハの無伴奏チェロ組曲を演奏し続けていて、彼はこれをアボリジニーの少年が荒野を一人で放浪することで成長するとされる通過儀礼、Walkabout(ウォークアバウト=放浪)に掛けて、Bachabout(バックアバウト)と言っているそうです[violinist.comより]。

面白いと思ったのが、彼がパーキンソン病患者を訪問したときの映像で、 彼が演奏するバッハの組曲6番、4番、3番...に合わせて患者たちが体を動かす訓練をしているのです。最近、ケラスなどバッハの組曲とダンスの話題があったこととの符合を感じました。

彼はすでにバッハの組曲全曲のアルバムを録音していてamazonで発売されるほか、SoundCloudでも試聴できるようになっていました。

2017.09.19
(Tue)

敬老の訪問演奏

敬老の日、区内の養老施設でカルテット演奏させていただいた。

前にも書いたように、自分は趣味としてそう長くない年数やっているだけの自分の演奏を「だれかのためにする」のは「おこがましい」と思っていて、この日、聴いてくださっただけでなく、いろいろと配慮し、優しい言葉を掛けてくださった入居者やスタッフの方々には、ただただ恐縮した。

アマチュア演奏家が、友人や家族でもない人のために演奏する場に出て行く「資格」があるだろうか? そうして何かを"give"できるということがあるだろうか?...というのが、趣味として音楽をやっていてずっと抱えている──けれども普段そういう場に直面しないので時々しか思い出さない──疑問。

長く生きてこられた方々──ちょうど親ぐらいの年にあたる──のお祝いに、自分たちの演奏が果たして相応しいと言えるだろうか?…たしかに、地元に住む、息子くらいの年のアマチュアが、一生懸命何かをして差し上げることには、多少の意味があるかも知れない。 でも、過疎の村ならともかくこの東京にあって、地元に優秀なプロの音楽家たちならたくさんいるのだ。 あるいはもっと若い、区内の児童生徒にだっていい演奏や合唱をするグループがあり、その姿を見るだけでもお年寄りたちは喜んでくださるに違いない...

***

曲目は、パッヘルベルのカノン、モーツァルトK.136第1楽章のほか、タンゴ、マーチ、そして「川の流れのように」(チェロにも旋律があって、これはこれでとても勉強になった)。「椰子の実」「ふるさと」ではみなさんが声をそろえて歌ってくださった。 演奏が終わると、この日、白寿のお祝いをされた方から第1バイオリンに花束を頂き、これまた大変恐縮した。

選曲について、お年寄りだからこういう曲がいいだろう、などとアマチュアが「忖度」すること自体も「おこがましい」と思えてならない。 第一、お年寄り向けならそろそろビートルズや(「やすらぎの郷」ならば)中島みゆきを入れなきゃ、という時代だって、すぐ近くに来ていると思うのだ。

2017.09.15
(Fri)

1万7千人の前でバッハ組曲全曲

ヨーヨー・マが12日夜、ロサンゼルスの1万7千人以上収容の野外ホール、ハリウッドボウルでバッハの無伴奏チェロ組曲全曲のコンサートを行ったらしいです。 ヨーヨー・マは近年、世界中の大きなホールでバッハの組曲全曲の演奏会を行っていますが、1万7千人もの前では、歴史上も類を見ない規模かも知れません。

そのようすを伝えるロサンゼルスタイムスの記事→Yo-Yo Ma does the impossible at the Hollywood Bowl [LATimes 17.09.13]

大きなハリウッドボウルのステージにヨーヨー・マが座る椅子だけが置かれ、薄暗いライトが当てられ、 脇にはヨーヨー・マがアップで映し出される巨大スクリーンがあり、音響システムを使い、野外ホールにもかかわらず親密さを生み出していた、などなど。1万7千以上の座席に空席はほとんどなかったといいます。日本で1万7千人収容というと、ちょうど横浜アリーナくらい。武道館が1万4千余りというところ。※後日一部追記

この日は、夜8時に開演して10分間の休憩をはさんでバッハ全曲のあと、アンコールにカザルス「鳥の歌」を演奏して、2時間40分ほどの公演だったそう。

最近、バッハ全曲をダンスとのコラボレーションで弾いているケラスも約2時間半で弾いているとのこと。 以前はひと晩のコンサートで弾くようなものではなかったバッハ全曲を2時間半で弾くようになったのは、革命的なことじゃないかと思います。

昨年9月にヨーヨーマがバッハ全曲をサントリーホールで弾いたのを聴きに行った友だちに聞いたところ、繰り返しを省いたりもしていないと聞きました。 それだけ、速い楽章を速く弾いている、曲と曲の間をほとんどあけない…などしているのだと思います。

聴く側としても2時間半というのは集中力が保てる範囲内かも知れない。ただ、何千何万人という大観衆の中で聴きたいか?というと、私はちょっと遠慮したいところですが…

***

12日当日、冒頭の1番プレリュードだけを収録したライブ動画。大歓声に包まれてヨーヨー・マが登場するのは開始3分(残り時間表示4分)くらいから。

タグ : ヨーヨー・マ 

2017.09.14
(Thu)

「過保護のカホコ」の結婚行進曲

連続ドラマ「過保護のカホコ」[日本テレビ]が昨日13日最終回。 めでたく結ばれた主役二人のために、それまでチェリストになる夢をあきらめかけていた従妹・糸がワーグナーの結婚行進曲(歌劇「ローエングリン」第3幕)をチェロ独奏したのは、見事な演出だったと思います。

ワーグナーの結婚行進曲のチェロ独奏(ピアノ伴奏)による演奏例。

ドラマではこれより5度高い変ロ長調(♭2つ)で弾いていたように思われ、確かめてみたら、それがまさに原曲の調でした(原曲では女性合唱)。

糸役・久保田紗友さんへのチェロ指導とドラマの中の演奏は、チェリストの飯尾久香さんだそう[Facebook]。

タグ : ドラマのチェロ 

2017.09.12
(Tue)

指揮するロボット

イタリア・ピサの歌劇場で、プッチーニの歌劇「ジャンニ・スキッキ」から「私のお父さん」を指揮するのはロボット…

[New Atlas経由ABB]

このロボットは、スイスに本社を置くABBグループが開発したYumiというロボットで、今週ピサで行われているロボット関係の国際展示会でその指揮ぶりを披露することになっているのだそう。 yumi_robot.jpg

指揮をするだけなら、2008年にホンダのASIMOがデトロイト交響楽団を指揮した(その場にヨーヨー・マもいた)ことがありますが[過去記事]、このYumiは「リードスルー(lead-through)・プログラミング」という技術によって、特別な知識がない人でも動作を教えられるようになったところが進んでいるのだそうです。

[追記] 12日の本番の映像。歌うのはアンドレア・ボチェッリで、ヴェルディの歌劇「リゴレット」の"La Donna e'Mobile"(女心の歌)。目の不自由なボチェッリとロボットとで合わせるのには、実は苦労があったかも。

2017.09.11
(Mon)

ハイドンのピアノ三重奏曲「ジプシー」

今度合わせてみようと言っている曲の1つが、ハイドンのピアノ三重奏曲第25番「ジプシー」。3楽章のハンガリー風のロンドが印象的なのでこういう名前で呼ばれるものの、全体としてはハイドンらしく「かっちりと」弾くものだろうと思っていたら、軽やかで楽しげに弾くこの演奏を教えてもらって、すっかり気に入ってしまっているところ。オランダのストリオーニ・トリオの演奏。

2楽章3楽章

動画の説明によると、アムステルダムで夏に行われるGrachtenfestival(運河祭り)での演奏で、収録時期はおそらく2009年8月。運河に浮かぶ小舟や岸で思い思いに演奏に聴き入る人たちが楽しそうだし、街の風景が美しい。

なんだか、曲が気に入ったのか、この動画が気に入ったのか、よくわからなくなっているようなぐあい。

2017.09.09
(Sat)

今週の練習

日曜日、オーケストラの集中練習。11月の演奏会が近づき、指揮の先生の指摘も細かくなってきた。

pachelbel.jpg某日、いわゆる慰問演奏の選曲がてら合わせ。チェリストには悪名の高いあのパッヘルベルのカノンを初めて弾くことになった。

この曲のチェロは、右を28回延々繰り返すので、弾いているうちにどこを弾いているのかわからなくなったり、気がつくと曲が終わっていたりする…。

思うに、「2小節を28回」と思うから意識が遠のくのであって、2小節のチェロのソロ+8小節+8小節+....というふうに考えればいいのではないかと思った。

日々の練習では、開放弦のボウイング、スケール、日替わりのシュレーダー、バッハの4番から。少し先に合わせるピアノ三重奏曲の譜読み。メンデルスゾーンの1番1楽章、ハイドンの「ジプシー」など。これは楽しみ。

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